『娘が東大に合格した本当の理由』。想像以上に薄っぺらくてそれはそれで満足。

教職の授業で学生に話をするときに、「プロ教師の会」の諏訪哲二・河上亮一といった人たちとともに、「百ます計算・陰山メソッド」の陰山英男という人の名前も紹介する。前者が「教育改革国民会議」のメンバーだったことに対比して、後者は「教育再生会議」のメンバーでもあり、大阪の橋下教育改革の教育委員でもあるわけで、わかりやすいっていうかそのへんのニュアンスの違いも含め、紹介する。百ます計算のほうが、ゲーミフィケーションしててライフハックなかんじで、だんぜん2000年代的ではある。で、学生さんにそういうのを新書本で紹介しようという時に、諏訪哲二だと新書本をたくさん書いているのでどれでも紹介すればいいのだけれど、陰山英男の新書本?っていうことになって、そうするとこの本ということになる。で、じつは今までバカにして読んでなかったのだけれど、読んでみたら面白かった。なにかこう、不愉快なものを見るとムズムズするみたいな種類の面白さ。子どもが東大に入ったら親が自分の手柄のように吹きまくる現象って、なんなんでしょうかねえ。でもって、その舞い上がった調子の文章の中に、しみじみと薄っぺらさが浮かび上がってきて、その薄っぺらさはやはり、「百ます計算・陰山メソッド」そのものの2000年代的な薄っぺらさにつながってると感じられるのである。