『渚にて』。

渚にて―人類最後の日 (創元SF文庫)

渚にて―人類最後の日 (創元SF文庫)

小説のほうは非常によかった。
で、映画のほうはこれは、もうハリウッド映画というものはこうならざるを得ないという見本のようなかんじで、原作の、おっとりと淡々と最後の日々が過ぎていく調子(活字の詰まった創元SF文庫で400頁以上ある)とは逆に、どんな長編もメリハリをつけて2時間にまとめてしまわないと成り立たない、というところはある。それはもう見る前からわかっていたことで(だから小説を読んでから→映画のほうを見る、という順番で見たのだけれど)、やはりそうだったなあと思ったのだけれど、原作と映画は別物であるならあるなりに、それでも原作の魅力の一端ぐらいは残っていたらよかったものを、と思い、それは要するに、配役がいかんともしがたいじゃないですか、要するにヒロインのモイラがエヴァ・ガードナーってどういうことよ、というところなのである。それで、じゃあ誰にやらせるか、自分がプロデューサーのつもりでキャスティングをするとしたら誰、というふうに考えて、いまのところ辿りついたのが『ノルウェイの森』(http://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20121231#p2)のときの水原希子で、これはたぶん自分が小説のほうを読んでいるときに頭の中でイメージしていた雰囲気をかなり再現してると思う。

追記
ドワイト艦長は、少し前ならとりあえず”困ったときの”役所広司にやらせるところだったのだけれど、今はさすがに年齢的にきびしくて、なにしろ故郷に妻と小さい子どもたちがいるというのだから、まぁ艦長というのであまり若くても似合わないにせよ40代からせいぜい50歳ぐらいまでか、と。それで思いついたのが中井貴一。これならまずまずであるとおもうがいかがか。少なくとも、グレゴリー・ペックエヴァ・ガードナーよりは雰囲気かと。