京都賞がセシル・テイラーということで朝からDVDなどチラ見。

http://kyoto-np.co.jp/top/article/20130621000175
 
京都賞にテイラー氏ら 京大出身の生物学者・根井氏も
 
 稲盛財団稲盛和夫理事長)は21日、科学や文明の発展、精神の深化への貢献をたたえる「第29回京都賞」の受賞者を発表した。「思想・芸術部門」でフリージャズの先駆者として知られる米国のピアニストのセシル・テイラーさん(84)、「基礎科学部門」で人類の起源と進化を遺伝情報から解き明かした京都大出身の進化生物学者の根井正利博士(82)が選ばれた。
 「先端技術部門」は、パソコンや携帯電話などの情報通信機器に使われているDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の基本構造を発明した米国の電子工学者のロバート・ヒース・デナード博士(80)。
 テイラーさんは1960年代に従来のジャズの枠組みを解体したフリージャズを先導、世界の音楽家に影響を与えた。情熱的で、鍵盤をたたきつけるような演奏が特徴で、日本にもファンが多い。ポピュラー・ミュージック分野での受賞は初めて。
 授賞式は11月10日に京都市左京区国立京都国際会館であり、各氏に賞金5千万円とメダルが贈られる。

学校帰りの電車でごいっしょした同僚の先生と喋っていて、この話題で盛り上がれるというのはやはり職場に恵まれているのである。おめでとうございますといわれありがとうございますと答える。ファンとはそういうものである。
そのときに、セシル未聴ということだった先生に、なんでもでてくるYoutubeからお奨めした動画がこれ。「ニット帽をかぶって灰色のスウェットを着てソロピアノを弾いてる動画のがわかりやすいです」的なかんじで。

で、今朝は早く起きたので勢いでそのDVD(もってる)のセシルの演奏をちらちらと見る。

イマジン・ザ・サウンド ─ 60年代フリー・ジャズのパイオニアたち [DVD]

イマジン・ザ・サウンド ─ 60年代フリー・ジャズのパイオニアたち [DVD]

まぁ、手癖というかけっこうパターンが限られてるので、5分ぐらい聴いてるとファンでなければ「もうわかった」ってなるのだけれど。
このDVDの中でもだけれど、セシルはある時期から、自作の詩とも唄ともつかないものを唄ったり妙なダンス?を踊ったりする。で、おもむろにピアノをガンガン弾いたりする。それはまぁ、誰もを困惑させるのだけれど、いかにもアートの世界としか言いようのないかんじなんである。
よく事情が分からないままCDで最初に聴いたときは、えー?ってなったけれど。
In Florescence

In Florescence

通勤電車で読む『ゆとり京大生の大学論』。30年ぐらい前の京都大学生協のパンフレットでこういうのあったよな。

ゆとり京大生の大学論―教員のホンネ、学生のギモン

ゆとり京大生の大学論―教員のホンネ、学生のギモン

ガラパゴス、という呼び方は今っぽいし、孤島で進化してるみたいな印象があるのでこのばあいふさわしくない。こういうのは「シーラカンス」と呼んだものであって、なにか海底かどこかで取り残されてたのが釣り上げられて人前に姿を見せたみたいなかんじなのだ。
なんか、京大の「教養教育改革」と人間・環境学研究科、総合人間学部の改組or解体?みたいな話が起こったことをうけて、学生さんたちが作った(京大生のみかた、ナカニシヤさんが本にしてくれた)ということのようで、最初にノーベル賞益川という人に大学生がインタビュー、みたいなのがあって、つぎに京大やそれいがいの先生がたや社会人の人たちが「教養教育」についてそれぞれ短い文章を寄せていて、それから学生さん同士のお話っていうか討論っていうかがおさめられている。先生方はきっと、学生さんに文章を依頼されて、引き出しの中から昔に書いたデッドストックを「はいよ」って渡したんだと思う。それか、シーラカンスみたいな学生さんたちがやってきたので思わず古き良き時代にタイムスリップしてしまって、気持ちよく「教養とはそもそも」みたいなかんじで語っちゃったかなんかじゃないかな。で、ナカニシヤさんも、「まぁ、学生さんたちががんばって作ったんだから」ということで本にしてくれたんじゃないかな。
いまの日本の全国の大学というのをごくふつうに見れば、やはり大変だなあと思うのがふつうなわけで、そんななかでこんな悠長な(しかも新味のない)本が作られてしまうというのは、よほど浮世離れしてると思う。なんか、夢の中で夢の人たちが喋りあってるのを聞いてるようで、すごく真顔で立派に理屈を言い合っているようでありながら、なんかトリトメないっていうか。まぁ、昔から京大っていうのは夢の国っていうかユートピアだったじゃないですかと言われればそうなんだけれど、しかし、2010年代になってこれを読むのは、なかなかやはり不吉なかんじがしてしょうじき辛い。だいじょうぶか京大?