熊野『メルロ=ポンティ―哲学者は詩人でありうるか?』、薄さが美しさにつながってない気が。

先日買ったのをさらっと読んだ。メルロ=ポンティ論で、図版も絵本ぽいタッチで、テーマも「哲学者は詩人でありうるか?」、とくると、さぞかし美しい本だろうと思うのだけれど、いや、いいんだけど、なんか、薄い本なのが美しさにつながってない気がする。なんか、読んでて、これはきっと説明をもっと丁寧にしてくれるといいのだろうなあ、というかんじがした。とくに最後の章でいきなり哲学にとっての反省の可能性とかなんとかそういうもんだいが登場したりしたところとか、書いている著者じしんが唐突で説明不足とおもいながら書いているのがありありで、じっさいそういう言い訳をしながら書いているし、そうすると、なんかものたりなさのほうが残ってしまう。
たとえば、勢いでさあーっと描いた水彩画なんかに、その瞬間の光や風なんかが息づいていたりするような、そういう、薄い本ならではの美しさ、みたいのをちょっと期待したんだけど、そういうのじゃなかったな。
でもふつうによかったですが。