定員割れや超過に懸念…大学評価機関が結果公表

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070413ur01.htm

国の認証を受けた三つの評価機関が、昨年度に実施した大学の第三者評価の結果をそれぞれ公表した。1校が大幅な定員割れで判定を保留されるなど、定員確保に苦しむ大学が目立つ一方で、定員オーバーを指摘された大学も複数あった。
 第三者評価制度は大学の質を確保するため、2004年度から始まった。すべての大学は学校教育法で、7年以内に一度、評価機関による審査を受けることが義務付けられている。評価機関は、大学評価・学位授与機構大学基準協会日本高等教育評価機構。昨年度は計73校がこの三つのいずれかから審査を受けた。
 このうち大学基準協会が審査した身延山(みのぶさん)大学(山梨県身延町)では、入学定員に対する実際の入学者数の比率が過去5年間の平均で63%と、大幅な定員割れを起こしていた。同協会は「抜本的な対策が必要」として判定を保留し、2009年6月末に改善状況の報告を求めた。同大は今年度、40人の入学定員を確保。大学事務局は「このまま定員を維持して財政改善につなげたい」と語る。
 このほか、2〜3割程度の定員割れがあり、大学の経営に影響が出かねないなどと指摘された大学は少なくとも12校あった。
 一方、岐阜経済大学岐阜県大垣市)は、昨年新設した「スポーツ経営学科」で、定員(70人)を大幅に上回る258人を入学させたため、日本高等教育評価機構が「設備や教育体制に懸念がある」と指摘した。同大は「定員割れを避けようとして、推薦入学の学生を多く集めすぎてしまった」と明かす。今年度は定員を150人に倍増し、教員も2人増員。入学者数は198人だったという。
 また、大学基準協会は、定員の約1・2〜1・4倍の学生が在籍していた学部のあった早稲田大学(東京都新宿区)など18大学について、「きめ細かな指導ができない可能性がある」として、改善などを求めた。
 第三者評価をどう生かすかは、大学側の取り組み次第。多くの大学が一つの評価機関からのみ審査を受けているのに対し、複数の評価機関のチェックを受けることで、ブランド力を高めようとする大学もある。
 金沢工業大学(石川県野々市町)は04年度に大学基準協会、05年度には日本高等教育評価機構から審査してもらい、ともに「優れた教育研究を行っている」などと高い評価を受けた。同大の志鷹英男広報課長は、「複数の第三者評価を受け、多面的な物差しをあてることで、教育の向上につなげたい」と話している。(大垣裕)

2006年度の大学評価で要改善と指摘された主な事例
設備
施設のバリアフリー化が十分とはいえない
最新の参考図書が不足している
パソコン台数が少ない。IT環境が不十分
建物が老朽化している
教育
成績評価の正確性を担保する措置が不十分
大学院で必要とされる教員数を下回っている
統一された教養教育の体制が構築されていない
運営
大学、短大が教授会を合同で開いている
評議会、教授会などの関係が明らかではない
定員割れで多額の借入金がある
(2007年4月13日 読売新聞)