劇場中継『焼肉ドラゴン』。いいものを見た。

なんか、藤原のりかとネプチューンの、くだらない安易ドラマを見てしまってうんざりしていたところで、チャンネルをなんとなくぱちぱちとしていたら、舞台が映って、たぶんちょうど始まって間もないかんじで、なんかちょっと雰囲気があって、予感が働いたので見始めたら、なんとなく釣り込まれて、そのうちかなり本気で最後まで見てしまう。いいものを見た。
http://www.nhk.or.jp/art/archive/200906/02drama.html

日韓合作演劇の舞台「焼肉ドラゴン」は、2008年度の日本の主要な演劇賞を総なめにし、韓国でも大絶賛された。
昭和45年頃の関西を舞台に、焼肉屋を営む在日コリアン家族と、店に出入りする人々との交流を通し、笑いと悲哀を織り交ぜながら生き生きと描かれた作品である。脚本を書いた鄭義信(チョン・ウィシン)さんは、「在日コリアンの歴史の重みと痛みに正面から向き合い、完成度の高い作品に仕上げた劇作術は見事である」と評された。見どころを紹介し、鄭さんに作品への思いなどを聞く。

※受賞した作品賞は「朝日舞台芸術賞グランプリ」、「読売演劇大賞・優秀作品賞」「韓国演劇評論家協会の選ぶ 2008年 今年の演劇ベスト3」、鄭義信さんへの個人賞は「紀伊國屋演劇賞個人賞」「鶴屋南北戯曲賞」「芸術選奨文部科学大臣賞」。
 
劇場中継「焼肉ドラゴン」
万国博覧会が催された1970年、関西地方都市。高度成長に浮かれる時代の片隅で、「焼肉ドラゴン」の赤提灯が今夜も灯る。
店主・金龍吉は太平洋戦争で左腕を失ったが、それを苦にすることなく淡々と生きている。家族は、先妻との間にもうけた二人の娘、後妻・英順とその連れ子、そして英順との間に授かった一人息子。ちょっとちぐはぐな家族たちと、滑稽な客たちで、今夜も「焼肉ドラゴン」は賑々しい。ささいなことで泣いたり、いがみあったり、笑ったり……。
そんな中、「焼肉ドラゴン」にも、次第に時代の波が押し寄せる…。

<作>鄭 義信
<翻訳>川原 賢柱
<演出>ヤン・ジョンウン/鄭 義信
<出演> 千葉 哲也、粟田 麗、占部 房子、若松 力、パク・ションチョル、山田 貴之、水野 あや、チュウ・ウォンシル、笑福亭 銀瓶 ほか
<収録> 2008年4月26日 新国立劇場 小劇場

http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000036_play.html

「小さな焼肉屋の、大きな歴史を描きたい」(鄭義信
「大きな歴史の波紋の裏で、人生を乗り越えようとする人間の希望を歌いたい」(梁正雄)

これはある焼肉屋に刻まれた家族の物語です。
朝日舞台芸術賞グランプリを受賞した『その河をこえて、五月』に続く、ソウル・芸術の殿堂とのコラボレーション企画。単なる国際交流ではなくその作品性が高く評価された経験を生かし、今回は韓国でいま最も注目されている若手演出家・梁正雄と映画・舞台の第一線で活躍する韓国俳優陣を招いて前回を上回る舞台作りに挑戦します。
作・共同演出は岸田國士戯曲賞受賞のほか、「月はどっちに出ている」「血と骨」「愛を乞うひと」で、日本アカデミー賞最優秀脚本賞キネマ旬報脚本賞受賞など映画界でも人気シナリオ作家として活躍する鄭義信があたります。
舞台は万国博覧会が催された1970年(昭和45年)、高度成長の真っ只中。在日コリアンの経営する焼肉屋の家族が時代に翻弄されながらも必死に生きていく姿をとおして、日韓の過去、現在、未来が、楽しく、そして切なく描かれます。社会の矛盾や弱者へのまなざしを持った在日コリアン鄭義信にしか描けない、まさに日韓交流にふさわしい作品です。
日本人キャストは演出家としても活躍する千葉哲也、CM・映画等での活躍がめざましい粟田麗占部房子、韓国語落語を創作し活動の幅を広げた笑福亭銀瓶ほかユニークな出演者が集まりました。さらにミュージシャンもセリフと演奏で参加し、舞台を盛り上げるという、俳優、落語家、ミュージシャン、そして両国キャスト・スタッフが集結した二ヶ国語が飛び交う“ビビンパップ(ごちゃまぜ)演劇”、煙と笑いと涙に目をこすりながらお楽しみください。