『こんにちは赤ちゃん』。日活のたあいなくも楽しいコメディ。

こんにちは赤ちゃん [VHS]

こんにちは赤ちゃん [VHS]

鈴木清順追悼シリーズでひきつづき何か見るかと思いきや、芦川いづみつながりで手元のつんどくのものから何か、と思い立った。それでjmdbなど調べつつ(http://www.jmdb.ne.jp/person/p0025800.htm)、手元のDVDと引き比べて未見のものを、ということでいくと、とりあえず『若草物語』というのが日活看板女優四大スター共演、芦川いづみ浅丘ルリ子吉永小百合和泉雅子の顔合わせお正月映画、ということらしいので見はじめたら、どうやら見覚えがある。見てたらここに書いてあるはずと思って、書いてないのを選んだつもりだったけれど、どうやらここに書いてなかった時期がいくらかあったのでその時期に見てたのかしらと思い起こし、それじゃあまぁべつのを見ようということであらためて探したのが『こんにちは赤ちゃん』(こんにちは赤ちゃん - Wikipedia)。これはこれでにぎやかな、芦川いづみ吉永小百合和泉雅子の顔合わせ。たぶんヒット曲便乗ってだけで(森永ミルクの全面協力を取り付けて)こんなにたあいなくも楽しげな一本の映画を作り上げてしまうところに昭和30年代の日本映画の勢いを感じ・・・とかなんとか。おはなしは、貨物船が横浜に停泊した24時間の物語で、船乗りたちの横浜の定宿「かもめホテル」が舞台。かもめホテルの看板娘の和泉雅子に岡惚れしている若い船員ふたりの恋のさや当てあたりを中心に、船員の男たちと奥さんたち、娘、彼女、田舎から出てきた母親と幼馴染、浮気相手のバーの女、といった人たちがどたばたする。吉永小百合は船長の娘で、母親が亡くなっているので父親と二人でレストランで食事、そのあと旅館でしっとりと父親の肩をもんだりして親孝行、吉永小百合持ち歌の「寒い朝」を歌ったりとか。で、芦川いづみはというとちょっと訳があったり影があったりする役。一等航海士の川地民夫の赤ん坊を抱いて現れるのだけれど、実は昔、船乗りの川地を待ち続けることができなくて他の男と結婚してしまったという過去があって、それで今、その結婚相手は亡くなってしまったらしく25才の未亡人。で、川地のほうも芦川が他の男と結婚してしまったので絶望して好きでもない女と結婚して赤ん坊も生まれたけれど夫婦は冷めきってしまい妻は出て行ってしまったと。なので、芦川は、川地の親の元に預けられていた赤ん坊を3か月ぶりに川地に会わせるために「かもめホテル」を訪れた、という次第。なので、赤ん坊をかもめホテルの和泉雅子に預けて二人で出かけても微妙に影のある後悔のにじむ距離感。とかなんとか。それでまた、もう一人、桂小金治の愛妻が、お腹が大きいのに夜行に乗って横浜までやってきたはいいが、「かもめホテル」でいよいよ産気付くドタバタ、とか。それで、川地の子どもの赤ん坊をめぐるドタバタと、桂小金治の赤ん坊が産まれるというドタバタがあって、まぁけっきょくはみんなで「こんにちは赤ちゃん」を歌って踊って、そして名残を惜しみながらまた慌ただしく貨物船は出港するのでした、という。なんか書いていたら、これでもそうとう枝葉を省略してるのだけれどなにげにいろいろなエピソードをうまくさばいているのかな。