通勤電車で読む『刺し身とジンギスカン』。久々に読んだ魚柄仁之助は歴史家みたいになってた。

魚柄仁之助、という名前はウオツカとジンという意味のペンネームで、20年ぐらい前に文庫本の、まぁ内容は忘れたけれど男の料理的な食レシピエッセイかなにか?を一冊読んだときにたしか著者近影でバンダナをしていて、ペンネームの由来とともに、あーなんだかそういうかんじのひとなんかなあと思ったという印象があったわけだけれど、時は流れてふと目についたおもしろそうな本の著者が魚柄仁之助だった。副題が「捏造と熱望の日本食」ということで、刺し身・ジンギスカン・チャプスイという3つの料理がとりあげられていて、それぞれの歴史を、当時の雑誌資料なんかからていねいにあぶりだしている。意外に手堅いなあという印象。まぁ、サシミは日本食の代表みたいに言われてるけど冷蔵も物流も未発達だったつい最近まではほとんどの人は刺し身など食べていなかった、でも、あこがれの存在ではあって、だからなんとかして生魚に近いものをくふうして食べようとしていた、とか。また、生魚+醤油+ワサビ、という現在のパターン以外にもさまざまなありようがあったよ、とか。また、ジンギスカンというのはモンゴルの料理かといえばさにあらずで、今私たちが知っているようなジンギスカンは日本で形成された料理だし、戦時中に国策によって広められた(いうほど広まらなかったけれど)ものだ、というお話とか。