通勤電車で『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』。

日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか (講談社現代新書)

日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか (講談社現代新書)

学生さんに勧める新書本リストの候補に上がっていてけっきょく今年は入らなかった本だけどおもしろそうだったので通勤電車で。「キツネに化かされる」というのは、そういわれてみれば昔話としては聞いたことがあるけれどまぁいまはもちろん聞かないわけで、著者の人はなんとなくそれを1965年あたりを境に日本人がキツネにだまされなくなった、というふうに見立てる。なんで1965年という数字が出てきたかというと、いろんな人に聞いたらだいたいそのぐらい、という感じだったと思う。でまぁ1965年あたりに日本に何が起こったかというと、まぁ高度成長だの何だの社会の変化は大きかったよねということになり、まぁ自然と人間のありかたが変化したよね、というようなはなしになる。まぁそれはそういうこともいえるかもなと思いながら読んでると、マルクスとかヘーゲルとか出てきて、歴史学批判とかのはなしになる。まぁ、そのへんも、ふつうに民俗学でいいんじゃないかな、というか、この本が意外にもさらっと読めてしまったのは民俗学的ないろいろな調査事例とか厚い記述とかがあんましなくてなんとなく著者の人の身近な人とかに聞いた話とかでスイスイ進んでいくからだなあと思ったわけだけれど、ともあれ著者の人は東京生まれのベビーブーマーらしく、いまは群馬の田舎暮らしと東京とを行ったりきたりしながら生活している「都立新宿高校卒、哲学者」らしい。