『癒しの楽器 パイプオルガンと政治』

癒しの楽器 パイプオルガンと政治 (文春新書)

癒しの楽器 パイプオルガンと政治 (文春新書)

このまえ購買部で買ったシリーズのラスト。さっくり読めて面白い。

レビュー

出版社/著者からの内容紹介
なぜ日本中にこの楽器があるのか
多額の税金で買った楽器を独占する一部の演奏家。特定のメーカーと癒着する国立大学の教員。クラシック音楽の世界も政界と同じだ

内容(「BOOK」データベースより)
バブル期、多くの地方自治体がパイプオルガンを導入した。いま、その多くは「宝の持ち腐れ」である。特権的な一部の演奏家しか利用できなかったり、故障だらけで法外なメンテナンス費用が毎年かかったり、税金で買ったことを十分に認識していないとしか思えないケースがたくさんある。そして、オルガンの機種選定や音楽ホールの運営委託に於いても、国立大学教員などによる不明朗な動きが数々見られる。クラシック音楽の世界も腐敗と無縁ではないのだ。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
草野 厚
1947年、東京生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。商社勤務のあと、上智大学大学院修士課程、東京大学大学院博士課程修了。東京工業大学助教授などを経て、現在、慶応大学総合政策学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

地方自治体の音楽ホールのパイプオルガン設置&メンテは公共事業だ、というおはなし。で、これを腐敗の暴露話、みたいに読んでもそれはそれでおもしろいのだけれど、著者じしん「あとがき」で書いているように、これは、日本各地に眠っているパイプオルガンを一般の音楽愛好者の手に奪還しよう!!んでもって本当の意味で地域にねざした音楽の楽しみかたをつくりあげていこう!!(どうせパイプオルガン買っちゃったんだから・高かったけど・どうせもう作っちゃったんだから、せっかくあるんだから。)というアジテーションの書でもある。と思う。
なので、生涯学習、というところから見ても面白い本だと思う。
この本、以前からうわさは聞いていて、それで単なる暴露本だと思っていて、それはまぁ面白いだろうけれど山っ気がはなにつくからよまんとこう、とスルーしていたのだが、そういうわけで見直して学生さんにすすめたい一冊。