いじめ自殺、緊急調査 全小中高対象に…文科省

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20061017ur02.htm

北海道、福岡県の児童・生徒がいじめを苦に自殺した問題を受け、文部科学省は16日、全国のすべての小中高校を対象に、自殺の原因となっている「いじめ」について、緊急調査に乗り出す方針を決めた。
 今週中にも各都道府県教委や私立、国立の学校に要請する。また、来年度には警察などと連携し、自殺の実態を探る全国調査を実施するほか、教員向けのマニュアルを整備するなど、子供の自殺を食い止めるための体制づくりを早急に進める。
 文科省では、これまでも年1回、全国の公立小中高校を対象に、いじめや自殺、不登校の数などを調べてきた。9月に公表した調査結果によると、昨年度の自殺の件数は105件で、ピークだった1979年(380件)と比較すると激減していた。ただ、原因別で見ると、いじめによる自殺の件数は99年度以降ゼロで、調査が実態を反映していないという指摘が出ていた。
 例えば、北海道滝川市内の小学校の教室で昨年9月、首をつって自殺した小学6年の女児(当時12歳)は、遺書でいじめを訴えていたが、市教委はいじめに関する記述を隠して発表。当初、遺族にもいじめを認めなかった。
 このため、文科省は「教育委員会がすべてを把握していないか、文科省へ報告していないケースもありうる」と判断。今回の全国調査では、現時点で校内で起きているいじめについて、各教委に徹底した洗い出しを要請する。調査対象を国立や私立の学校にも広げ、全体状況の把握を目指す。
 一方、文科省では、来年度から、自殺の件数を正確につかむため、警察などの関係機関とも連絡を取り合う方針。調査対象も今回の緊急調査と同様、公立、私立、国立のすべての小中高校とし、それぞれのケースについて原因を分析し、対応策を検討する。
 同省では現在、専門家を集めて、自殺予防策についての議論を進めており、児童・生徒による自殺予告への対応や子供からのサインの見つけ方などの具体策を列挙したマニュアルも策定する予定だ。
 また、福岡県筑前町の町立三輪中2年の男子生徒(13)が自殺した問題では、1年時の男性担任教諭の言動がいじめの発端だった。このため、同省は、今月中にも各都道府県に全市町村教委の生活指導担当者を集めた緊急会議を開催するよう要請。教師の指導方法を再確認するよう求める。
(2006年10月17日 読売新聞)