日本の子、学習時間二極化 「勉強役立つ」意識も薄く

http://www.sankei.co.jp/kyouiku/gakko/070914/gkk070914000.htm

東京の小学5年生は欧米や東アジアの子どもに比べ、学習時間の長い子と短い子に二極化していることが14日、ベネッセコーポレーション岡山市)の調査で分かった。「勉強が役に立つ」と考えている子の割合も他国に比べて低かった。
 調査を担当した耳塚寛明お茶の水女子大教授は「東京は競争する者と、しない者が分化しているのではないか。成績上位層は勉強時間も増えている」と分析している。
 調査は2006年度に東京、ソウル、北京、ヘルシンキ、ロンドン、ワシントンの六都市で10〜11歳の子ども計約6000人を対象に実施した。
 調査結果によると、塾などを含む平日の学習時間は、ソウルが2時間26分と最も長く、ワシントンが1時間3分で最も短かった。
 東京は1時間41分で3番目に長かったが、他国に比べ「30分」「1時間」という短い層(30%)と「3時間半以上」という長い層(18%)に二極化している傾向がみられた。
 また、「一流の会社に入る」「お金持ちになる」「出世する」「社会で役に立つ人になる」の四つの項目で「勉強が役に立つ」と回答した子どもの割合は、いずれも東京が最も低かった。
 ベネッセは「他の都市の取り組みを参考にしながら、学習意欲を喚起するような支援が必要だ」としている。
(2007/09/14 18:45)

毎日だとこんなかんじ。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20070921mog00m040004000c.html
みんなのニュース:小学生から「負け組」 勉強の目的見えぬ子供たち
 「勉強が役に立つ」と考える東京の小学生の割合は、世界6都市の中で最低であることが、ベネッセコーポレーションが実施した学習調査でわかった。進学希望でも「四年制大学まで」が18%にとどまり、「中学まで」「高校まで」が合わせて21%と、6都市の中で最も“低学歴志向”が強い。学校外での勉強時間も3時間半以上が14%もいる一方で、「ほとんどしない〜1時間半」も半数以上いるなど、二極化が浮き彫りになった。
 調査は東京、ソウル、北京、ヘルシンキ、ロンドン、ワシントンDCの6都市の学校に通う10歳と11歳の小学生を対象に、2006年6月〜07年1月にかけて実施した。回答者は5都市で約900人〜1300人、ヘルシンキのみ約500人で、計108校。男女比は半々。各都市の公的な教育機関などに依頼したほか、ホームページの学校情報などを参照して、地域の教育水準、学力レベルが偏らないように対象を抽出した。
 「金持ちになるために勉強が役立つ」と考えている子供の割合は、他の都市が6割を超えたのに対し、東京は43%。「一流の会社に入るために(役立つか)」など、経済的な豊かさや社会地位と関連づけた質問のほか、「尊敬される人になるために」「心にゆとりがある幸せな生活をするために」といった質問でも、最下位だった。
 調査を担当したベネッセ教育研究開発センターの木村治生・教育調査室長は「英米では、授業の中で、勉強の目的や、何に役立つかなどをしっかり説明している。中国や韓国では、勉強して良い大学にいけば、豊かな生活を送れるという意識が社会全体で強い。日本では、勉強の価値を下げるような言説があるのではないか」と推測する。
 北京と東京の子供が、学校外で平日に学習している時間(塾での時間も含む)を比べると、3時間半以上の長時間勉強する子供の割合はほぼ同じ14%。だが、北京は「2時間から3時間半」が計46%いるのに対し、東京は「ほとんどしない〜1時間半」が合計で60%と、学習時間の面でくっきりと二極化している。木村室長は「東京は、学習時間に長短がある子供が混在しており、学校の授業で教えにくいのではないか」と格差の大きさを心配する。
 ヘルシンキ、ロンドン、ワシントンDCの子供たちの学習時間は「ほとんどしない〜1時間」までで7割に上る。一方で、テレビを3時間半以上見ている子供が、ロンドン25%、ワシントンDC28%いる。東京も22%で3位。平均試聴時間でみると、東京が135分で6都市中、もっとも長い。
 一方、ソウルでは、週5日塾に行っている子が半数いる。木村室長によると、ソウルでは学校の校門前に塾が乱立しており、成績優秀者の写真を掲げたり、学校まで送迎バスが来たりするケースがあるという。
 木村室長は「欧米の小学生の学習時間は短いが、年齢が上がるにつれて長くなる。ソウルと北京は小学生からずっと長時間勉強している。東京は小中学生の方が高校生より勉強時間が長い」と説明した。高校生同士で比べると、東京の子供の学習時間の短さがさらに際立つかもしれない。
 大学院まで進学したいと答えたのは、北京市が最多で65%、ソウルの30%が続く。それに対して東京は14%。四年制大学への進学を希望する子も18%にとどまった。
 学校の成績を7段階に分けた場合、最上位の「1」をとりたいと思っている子の割合も、東京は低い。最多は北京市の86%で、東京は49%。6都市中5番目だった。最下位はヘルシンキの19%だが、がんばれば「1」をとれると思う子供の割合になると、ヘルシンキは一転して5割を超える。北京のトップ(76%)と東京の最下位(37%)は変わらず、小学生の段階で「負け組」意識を持つ児童が東京には多いといえる。【岡礼子】
 2007年9月21日