高3でも意欲なし 5人に1人勉強せず大学へ

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高3でも意欲なし 5人に1人勉強せず大学へ
09/24 06:17
 大学進学者の5人に1人が高校3年時、家でほとんど勉強せず、2人に1人は勉強時間が2時間以下−。「大学全入時代」が迫る中、高校生の深刻な勉強不足の実態が、2005(平成17)年度に高校3年生だった生徒を対象に、東京大の研究グループが行った調査で分かった。
 少子化や大学定員増加、推薦入試の拡大などで受験競争が緩和されたことが、学習意欲低下に影響しているとみられる。
 05年秋の調査で1年時、平日に家や塾などでの勉強時間を振り返ってもらったところ「ほとんどしない」と答えた生徒が59%と最多で、「約30分」13%と「約1時間」17%を加えた「約1時間以下」が89%を占めた。
 次に調査した3年時の勉強時間では、「ほとんどしない」は41%に下がったが最も割合が高かった。一方で「4時間以上」は1年時の1%から19%に増加。「約3時間」13%を合わせると32%となり、勉強する層としない層に二極化した。
 進路が決まった06年春に同じ生徒を追跡調査した結果、大学進学の割合は49%。このうち有効回答が得られた1972人の高3時の勉強時間を照合したところ、「ほとんどしない」が22%で「約2時間」13%と続き、「約2時間以下」が半数を占めた。「4時間以上」は最多の31%で、「約3時間」は19%。
 調査した東大の金子元久教授は「高校の学習内容が生徒の学習意欲に合致していないのではないか。教育再生会議中教審の議論は小中学校や大学に目が行きがちだが、高校生のこの状況は深刻だ」と話している。
■親の収入で進学格差
 東大の高校生追跡調査の結果、保護者の年収が1000万円を超える生徒の大学進学率が61%だったのに対し、400万円以下の生徒は34%にとどまり、収入によって大きな格差があることが分かった。男子の進学率が女子を上回り、地方より都市部が高くなる傾向も示された。
 調査によると、男女全体の進学率は年収400万〜600万円で45%、600万〜800万円で48%、800万〜1000万円で55%と収入が高くなるのに従って上昇した。
 年収1000万円超の場合、男子の進学率が62%、女子は59%と大差ないが、400万円以下では男子42%に対し女子は27%で、差は15ポイントに拡大した。
 1000万円以下の各収入層の進学率は東京、大阪など都市部が58〜35%だったのに対し、地方は53〜33%と最大6ポイントの差で都市部が上回った。ただ1000万円超で比べると、都市部60%、地方61%でわずかながら逆転した。