http://osaka.yomiuri.co.jp/eco_news/20071201ke02.htm
負債総額109億円 再生法適用を申請
関西文化学術研究都市(学研都市)の中核施設「けいはんなプラザ」(京都府精華町)を運営する京都、大阪、奈良3府県の第3セクター「けいはんな」(社長=立石義雄・京都商工会議所会頭)は30日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約109億円。けいはんなプラザと、子会社が運営するけいはんなプラザホテルの営業は続ける。今月4日に債権者説明会を開く。京都府が出資する3セクの破たんは初めて。
「けいはんな」は1989年に設立。資本金100億円で、出資比率は筆頭の日本政策投資銀行が21・5%、京都府15%、大阪府5%、奈良県2・5%など。
93年4月の開業以来、1000人収容のホール(5階建て)や68室のホテル、ベンチャー企業などが入居するラボ棟(13階建て)を備えたけいはんなプラザの稼働率は低迷し、慢性的な赤字経営が続いていた。施設建設に伴う借入金の返済が負担となり、累積赤字は88億9000万円(今年3月現在)に膨らんだ。金融機関からの借入残高は約99億円。関係者によると、今後、会社の存続を前提に、ホールでのイベントなどの不採算事業を整理したうえで、金融機関に債権放棄を要請する方針で、3〜5か月間をめどに再生計画案をまとめる。
<解説> 巨額公費、あいまい責任
バブル期に計画された過剰投資と、長引いた景気低迷に伴う経営不振。抜本的な経営再建に踏み出せない官民の寄り合い所帯。「けいはんな」の民事再生法の適用申請は、全国各地で相次いでいる第3セクター破たんの典型例といえる。
けいはんなプラザは、「学研都市」のランドマークで、整備費に約220億円の巨費が投じられた。うち約100億円が金融機関からの借入金で、金利負担だけでも年1億3000万円がのしかかった。
メーンホールの稼働率は3割にとどまり、ラボ棟も賃貸料を3分の1に値下げしたが、入居希望は少なく、埋まらなかった。
財界と自治体が二人三脚で〈バブルの夢〉に踊ったつけに、早くも、自治体側からは「けいはんなプラザは関西財界主導のプロジェクトで、財界が支援するのが筋。自治体に3セク救済の余裕はない」との声が上がる。
巨額の公費を投じたにもかかわらず、こうした「他人事」の感覚が、責任をあいまいにしたままの経営破たんを招いたといえよう。
(学研都市支局 金子知巳)
(2007年12月1日 読売新聞)