ドラマのはなし。朝ドラが調子いいというのと、『ヤンキー君とメガネちゃん』が拾い物だという話。

あれやこれやの因果によって今期の朝ドラは最初から見ているし、見始めたら思いのほか良くて、ずっと熱心に見ている。最初のころの、主人公がまだ子役のころの、内気な少女が姉や両親やみんなの幸せをねがいながらいっしょうけんめいなのにうまくいかなかったりしてでもさいごには報われて上手くいったりする話だとか、のっぽで気後れするタイプの女子がお嫁にいくまでの顛末にも泣かされたし、あっというまに見合いが成立して故郷を離れて東京とは名ばかりの辺鄙な郊外のあばら家で新婚生活が始まったあたりでは主人公に降りかかる不幸続きでいやな気持ちになりそうになったけれど、主人公がおっとりと前向きなので、なんか悪くないなあと思い始め、さらに松坂慶子が登場して、ぐっとよくなった。松下奈緒松坂慶子とを、ひそかに新旧おっとり女優対決だと思ってみている。松坂慶子、愛の水中花で売り出したころにはきわどそうな美人女優というかんじだったのだけれど、たしかほどなく東芝日曜劇場かなんかで、田辺聖子のカモカのおっちゃん話かなんかでおっとりした主人公を演って、そのころから、あれ?いい人かも?というかんじになって、それからぐんぐんと太って今や押しも押されもしない体型になったけれど、セリフの棒読み具合と抜けた明るさが、いかにもおっとりしていて、いい。いっぽうの松下奈緒も、のっぽ女子の役をそのままやってなかなか堂に入っていたわけで、大柄で大味な顔であんまり繊細な陰影が表情に出ないかわりに、なんか困ったような笑ったような顔で愛想笑いしていたりするのが印象的で、まぁなんていうか、いい人なんだろうなーと思わせる。主人公が苦境に立たされて、それでも前向きに「よし、がんばるぞ!」みたいなシーンがあっても、ふつうなら前向きさが朝っぱらからウザったいんだけれど、松下だと、どうせがんばってもどんくさいんだろうなーと思いながら見るので逆に素直に見れる。そんなこんなで、毎朝、授業が遅いときにはもちろん、授業が早くて朝見れないときには録画して、見ている。
さて、晩のほうのドラマでは、なにげに『ヤンキー君とメガネちゃん』を、2週続けて見た。なんか、拾い物だと思った。まぁ、『山田太郎ものがたり』も好きだったし、局が違うけれど『ヤスコとケンジ』も好きだったし、こういうなんかバカみたいなマンガ原作のって基本、嫌いじゃないんである。で、なんだかんだいって仲里依紗メガネっ娘が見たいのだというところも大だけれど、それよりも、実際に見てみたら、仲里依紗の優等生メガネちゃんがじつは昔はヤンキーのスケバンで夜の街をふらついて生きていたのが、伊東四朗のおじいちゃんの愛情で、じぶんの居場所をみつけて、いまはおじいちゃんと二人暮しで、ツインテールメガネっ娘になっている、っていう設定が悪くない。で、伊東四朗が説教って言うかちょっとええことを言うみたいなシーンがあるんだけど、そこは伊東四朗の人徳で、嫌味にならない湯加減なのでさほど不快ではなくてちょっとぐっときたりもする。ま、それはそれとして、なんだかんだいって仲里依紗めあてで見るわけだけれど、この人、反っ歯でいまいち茫洋とした顔ではあるのだけれど、ツインテールメガネっ娘をやるといかにもそれふうで、いいし、また回想シーンで荒んだスケバンの格好で荒んだ顔をしていると、これまたいかにもそれふうで、いい。じつは『ハチワンダイバー』の時もいいと思っていた(あれも、メイドコスプレと眼鏡の賭け将棋指しとの二面性の役だったね)けれど、じつはもっとまえにヤマザキパンのCMに茫洋とした女子が出てるなあと思っていたころから気にかかってたのだ。