日本教育社会学会「テーマ部会の発表申込み受け付け」。

http://www.gakkai.ne.jp/jses/2012/05/14151900.php

テーマ部会の発表申込み受け付け
 
カテゴリ:研究委員会
投稿日:2012年05月14日
 
 テーマを募集しましたところ、会員の皆さまから3つのテーマが寄せられました。それに研究委員会から提案するテーマを加えて、今年度は5つのテーマでもって発表者を募集します。「テーマ部会」は、フロンティア的なテーマの開拓、学会大会のさらなる活性化を目的にしています。会員の皆さまには、是非、「テーマ部会」での発表をご検討いただきたくお願い申し上げます。
 発表をご希望の方は、ブリテン第156号とともに送付します「大会のご案内」に沿って発表の申し込みを行ってください。ご注意いただきたい点は、それぞれ、部会を構成できるだけの申し込みがあった場合にのみ部会を開設するという点です。申し込み件数が少ない場合には、当該の部会は開設しません。テーマに関係する発表をお考えの皆さまは、是非ともテーマ部会での発表をお申し込みくださるよう、お願いいたします。
 もし、部会が開設できなかった場合、当該の部会に申し込んでいただいた方には、一般部会で発表していただくことになります。また、部会構成上、テーマ部会で発表を申し込まれても、一般部会での発表をお願いする場合もございます。発表の申し込みにあたっては、希望発表部会のひとつは、必ず一般部会から選択するようお願いいたします。
 テーマ部会については、提案者にコーディネーターさらには司会をお願いすることにしています。また、発表者が互いに発表内容を事前に知ることができるよう発表要旨の交換をはじめとした情報交換など、研究委員会でお世話することになっています。さらに総括討論の時間を十分とれるようプログラムを工夫する予定でいます。皆さまの積極的な申し込みにより、5つのテーマのすべてにおいて部会が開設できることを願っています。
 なお、部会が開設できたかどうかについては、学会のホームページにてお知らせします。5つのテーマ設定の趣旨は、以下の通りです。
(研究委員会委員長:北澤毅)
 
テーマ部会1
「教育をめぐる排除と包摂」
提案者:西田芳正(大阪府立大学)・酒井朗大妻女子大学
 
テーマ部会2
「学校文化の歴史社会学
提案者:斉藤利彦(学習院大学
 
テーマ部会3
「ノンフォーマル教育への社会学的アプローチ」
提案者:丸山英樹(国立教育政策研究所)・太田美幸(立教大学
 
テーマ部会4
「近代教育批判の再検討」
提案者:山口毅(帝京大学
 
テーマ部会5
「社会階層と教育研究の現状と課題」
提案者:中澤渉(大阪大学)・古田和久(新潟大学

おお。
さしあたり個人的には4に興味がありつつ、「批判」という言葉が気になるなあ。Kritikでいいのかなあ・・・。

<テーマ部会4の【趣旨】と【キーワード】>
 教育社会学や隣接領域において、近代教育に対する批判的アプローチが一定の地位を占めていた時代があった。1980年代から90年代にかけて、フーコーイリイチなどのポストモダン思想が紹介され、その知見を日本の文脈に適用する経験研究も生み出された。そこでは近代社会への全面的批判と結びついた形で、近代教育に対するラディカルな批判が唱えられていたのである。
 今日、こうした批判的アプローチは相対的に影を潜めている。ポストモダン思想の日本への導入が一段落し、近代批判は一時期の流行を過ぎたようにも見える。しかし批判的アプローチの衰退は、必ずしも研究上の吟味を経てもたらされたものではない。ある時期は全面的な批判が受け入れられ、次の時期には(学力論争や学校選択制といった)より喫緊とみなされる政策的テーマへと研究動向がシフトし、批判は空虚なポストモダンブームとして忘却されていく。こうした動きを振り返るならば、近代教育批判にどのような意義がありどこに限界があるのかという疑問には、未だ十分に答えられていないことに思い至る。
 批判の意義と限界を考えるためには、論点の整理が必要である。近代教育への批判は従来、(潜在的には)全面的な近代批判を導きがちであった。しかし全面的な批判の先に進み、批判の射程を慎重に見極めることが模索されてもよい。そのためにはたとえば、批判の営みと近代的な諸価値との関係を吟味する作業や、教育システムと他のシステムの関係を分析する作業も有用だろう。
 以上のような問題意識を踏まえ、本テーマ部会では近代教育批判の視点に立った報告を募集し、現在どのようなアプローチが可能となるかを考えたい。個々の報告は限定された対象を扱うとしても、それらを通じて近代教育批判の射程に対する認識を深めることを念頭に置く。いかなる根拠で何を批判し得るのか、その批判はどの範囲に適用されるのか。そうした問いを意識しながら、近代教育批判のアクチュアルな部分を継承することを目指したい。
【キーワード】近代教育、批判的アプロ―チ、批判の射程