『野戦軍楽隊』。マキノの国策映画。

野戦軍楽隊 SYK-166 [DVD]

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マキノの国策映画を見るシリーズ。オールスターらしいけれど、なにしろみんな兵隊で坊主頭で同じような服装だし、なんか延々と楽器の練習をしているので、まぁ地味である。まぁそのなかでも、「おれはこんな楽器の練習なんかやってられるか!」と反発するやつと、「まぁこれも任務だ、教えてやるから練習しろよ」というやつとの対立みたいなものがあったり、和解したりするというのが見せ場。あとは、中国の前線のはなしなので、歌を歌う中国娘として李香蘭がちょい役で出てくるけれどなるほどかわいい。
まぁ、国策映画なので真面目にやったということなのだろうけれど、題材としては心躍る音楽映画になりえたはずの題材で、素人が楽器を練習してバンドの演奏ができあがっていく話というと、てっとりばやくいうと『スウィング・ガールズ』でもいいし、あるいはもっと軍楽隊なかんじを出すのであれば『グレン・ミラー物語』みたいなかんじで戦地で兵隊さんたちがわくわくと元気になるというのでもよかっただろうけれど、まぁいかにマキノといえど、そんな不真面目なことはやらない。これはマキノの限界というより、日本軍の限界という気がするなあ。
例によって『映画渡世』で確認すると、あの巨大な中国の城は松竹京都撮影所に建てたセットらしい(しかもいっぺん風で倒れて作り直したらしい)。そう見ると、金がかかっているのか。昭和19年。63分の映画である。