セシル・テイラーの京都賞受賞パフォーマンスがよかった。共演の田中泯とくらべて、断然、語彙が豊かで構成力もだんちがいなのがわかる。さいしょの受賞者紹介はご愛嬌として。


去年の京都賞セシル・テイラーだったということで、まぁセシル・テイラー京都賞とどっちが偉いかというとセシル・テイラーのが偉いに決まっているので、京都賞ていどのためにあのセシル・テイラーが来日して演奏してくれるというだけで事件だわ、と思っていたのだけれど、

↑というのは、こちら↓のかたが、セシルの受賞についてはまったく異論がないと言いつつ
29thKyotoPrize

言うまでもなく、今回感じたことは「ポップスの音楽家が”人類の精神的深化”を求める京都賞に選ばれた」というそのことだ。

と書いておられるのが、まぁちょっと可笑しかったからで、まぁ書いておられることの趣旨はわからないではないですが、なによりセシルを「ポップスの音楽家」と言い切ってしまうところが、かっこよかったというわけである。
ともあれ、
youtubeで見ることができた今回のパフォーマンスは、田中泯とのワークショップ、というかたちをとっていたようで、しかしまぁ要するにセシルが即興で演奏(もっとも前半は例のポエトリーリーディングである)して田中泯が即興で踊るというパフォーマンスである。で、見たら、よかった。
ていうか、セシルのソロ演奏、やはりソロで録音を本格的に始めた70年代ころのが、スケールの大きい構成がよくて、80年代の『FLY!』とか90年代の『ガーデン』なんかだとちょっと、録音はクリアだけど演奏が淡泊で単調になったかなあ、齢かなあ、という印象があったような覚えが。

Fly! Fly! Fly! Fly! Fly!

Fly! Fly! Fly! Fly! Fly!

ガーデン

ガーデン

ところが、今回のを見たら、よかった。セシルの年齢どうこう、というより、やはりこちらの理解力のもんだいであって、隣で田中泯が踊ってみると、まぁピアノ演奏と身体ひとつのダンスとでは比較するのが酷なのは前提としても、圧倒的にセシルの演奏のほうが、即興の語彙も豊富で、しかもピアノでは20分ぐらいの演奏だったと思うけれど構成性もあるかんじで、よかった。田中泯には悪いが、比較対象のタバコの箱の役割、というか。そういうふうに見てようやく、セシルやっぱりいいな、と感じた。