『Cecil Taylor Unit』、CDが出てたので買ってひさびさに聴いた。

Cecil Taylor Unit

Cecil Taylor Unit

  • New World Records
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大昔、院生時代に、中古レコード店をぐるぐる巡回する日々を過ごしていたころ、セシル・テイラーというととにかく買ってたうちの1枚でLPで持ってた。そのとき聴いた印象では、ちょっと毛色が変わっていて聴きやすいかなと思っていたのだけれど、やはりLP(をカセットテープに落としたの)を聴くこともめっきりなくなり、そのころLPで買ってたのもCDが出たら買い直したりしてたわけだが、先日、ふと検索してみたらこれが出ていて、へえ、と思って購入。1978年の録音。Wikipedia見たら、『3 Phasis』セッションから生まれた別アルバムだそうだ(そういえば『3 Phasis』は持ってなかった?と思っていま注文した。ていうか、この時期のユニットはこのメンバーなのだね、『Live in the BlackForest』とか。あれ?持ってたんだっけ?)、ヴァイオリンが入っていてちょっと室内楽的な(でもないか、でも非ジャズ的な)響きがあり、ラフェ・マリクのキラキラした高音トランペットが花火のように弾けて色を添え、あと特筆すべきはドラムスがロナルド・シャノン・ジャクソン、オーネット・コールマンのプライムタイムの人で、たぶんそれもあって、B面全体を覆う30分の大曲の山場でいきなりエイトビートを叩きはじめるような、ちょっとたとえば『アキサキラ』とかの急迫的なセシル・テイラー・ユニットとは違うし、『ユニット・ストラクチャーズ』よりもさらにもう少しジャズから自由になってるかんじはあるのだった。
とはいえ、ひさびさにリビングのミニコンで(つまり通勤電車のウォークマンでも勉強机のPCでもなく)聴いたら、まぁ、べつに大きな音ではなかったはず(引っ越し当初にいちおうベランダなどで音漏れについては、自室の外にはほぼ聞えないと確認している)なのだが、なにせ一般の常識でいえば騒音に類するものなので、なんだかハラハラしてきてさいごのところはさらに音量をしぼったりして、やはりこの年になって常識が身についてしまうと賃貸で聴くにはやはりハードルがあるかなあとも思った。

セシル・テイラーディスコグラフィーを眺めながら自分がどこまで持ってるか見直したら、ようするに1978年のこのアルバムぐらいまではなんとなくカバーしていて(でもこのユニットの他のディスクはたぶんなくて)、あと1977のメアリー・ルー・ウィリアムスとのデュオ、1979年のM.ローチとのデュオ、あたりのジャズ巨人とのデュオも持ってて、1980年のソロ『FLY!FLY!FLY!FLY!FLY!』は中古LPからカセットに落としたのを当時よく聴いていて、たぶんそこから先が薄い。1956年からおおかた2011年ぐらいまでの録音がリリースされているセシルの50年以上のキャリアのうち、およそ前半ぐらい。自分が中古LPを漁ってたりしたのが1990年代前半ぐらいで、また、そうそう、たしか京大生協「セブン」のCD売り場で『In Florescence』(1989)を結構リアルタイムに近く買ったんだが、そこでセシルは歌?詩の朗読?みたいなものを交えてアルバムを作ってて、ピアノ自体はちょっと手癖みたいなものが気になるかんじもあって、まぁだからちょうどそのころが、自分の中で「古典的名盤」と「リアルタイムのディスク」の境目ということにもなり、また、自分がガイドにしてた『音楽の手帖 ピアノとピアニスト』(1980)のセシル・テイラーの章(鍵谷幸信…と思ったら引っ張り出して読んでみたら諸井誠だった)ほかのジャズ文献がそのころまでのものだったこと、また、ちょうどそのころ中古LPとして安く出回るアルバムと、新譜としてCDで出回って店頭で見かけるアルバムの境目みたいなものもたぶんあり、まぁなんやかんやで、就職してしまったら中古レコ屋めぐりからも徐々に離れ、そしてAmazonとかで検索をかけるといきなり山ほどのタイトルが出てきたりして、なんかこう、何枚かは買ったものの、追いかけて買うみたいなことから離れてしまったというのがある。