通勤電車で読む『まんがでわかるピケティの「21世紀の資本」』。山形監修版ということで。

ひところピケティという名前をよく聞いて、ベストセラーにもなっていたというのだけれど、まぁ厚そうだし読めなそうなので知らん顔をしていて、しかし訳者の山形という人のブログではアフターサービスというか、巷間に出回るピケティ解説本とか雑誌のピケティ特集とかへのコメントがこまめに書かれていて、まぁだいたいは辛口に書いてあるのでそういうものなのか、とも思っていたのだけれど、そのうちの何冊かは「まんがでピケティ入門」的な本だったけれど例によってだいたい辛口であるものの、なんかほめてあるのもあったりして、ちょっと買ってみようかなと書店でちらちら見ていたら、訳者山形本人の監修版が売れていたので、購入。まぁ、あんだけ辛口なことを言ってたらハードルは上がりに上がるわけで、それをクリアしてるということなのだろうからきっとおもしろくてよくわかるにちがいないと。
で、まぁ読んでみて、おもしろかったし、まぁ書いてあったかぎりのことはわかりやすかったと思う、けれどまぁ元の本を読んでないのでその辺はわからないけれども。で、「まんがで描いてある必然性」みたいなのも、いちおうあって、主人公女子は零細広告制作会社の事務職だったけど会社がやばそうだったので退職して次の仕事を探そうとしているという設定、で、文鳥を飼っていて、文鳥オフ会?みたいなのに顔を出してみたらいろんな人たちと知り合いました、という趣向で、大資産家令嬢とか、地主、投資家、公認会計士、大学非常勤講師、意識高いサラリーマン、駆け出しのイラストレーター女子、老絵本作家、ラーメン店チェーン経営者、あとまぁ就活女子大生だったのが失敗して派遣会社登録さらにフリーターに、といったひとたちが文鳥の趣味をつうじて交流している。そういう、まぁわかりやすいキャラクターに落とし込みながらお話を進めるところは、まんがってのを生かしてるんだろうなと思いつつ読んだ。で、最終的に主人公女子はひとまず自分のやりたいこと&得意技を生かして文鳥カフェを開き成功させるというオチなのだけれど、まぁふつうに読んでいたら、一般貧乏人が人並に成るには支配層のコネをゲットするしかない、コネがゲットできれば道が開けるしゲットできなければいつまでたっても鳴かず飛ばずである、というふうに読めるのは、いかにもせちがらいはなしである。そのへんはまぁ監修者はあとがきで、ピケティ話は基本的にマクロ&長期的なもんなんで、個人の生き方に持っていくもんではないよ、まぁ個人の教訓話にもってくんならこの主人公女子のような線が穏当だろうかむにゃむにゃ、というかんじで書いているんで、まぁそれはまぁそういうことで、まぁマンガでキャラクター化しながらお話を進めたら個人の教訓話みたいなオチをつけざるをえなくなるけれど、まぁそのへんはやはりね、ということなのでしょう。やーでもそれも含め、けっこう「まんがでわかる」をきちんとやっていたように思った。