『かよちゃんの荷物』読んだ。アラサー女子が3人寄ってうだうだしてる系マンガの心地よさ(と映画的な?ひっかかり)。

かよちゃんの荷物 1 (バンブー・コミックス)

かよちゃんの荷物 1 (バンブー・コミックス)

松田青子が勧めてた(http://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20151110#p1)ので読んでみた。アラサー女子が3人寄ってうだうだしている系のマンガ。ええと、『るきさん』とか『ハルチン』とか『すーちゃん』とか、まぁアラサーじゃないのでいえば言ってみれば『くちびるから散弾銃』でもいいし、沙村広明『シスタージェネレーター』所収の「制服は脱げない」でもいいし、まぁ要するにそういうジャンルは、あるわけで、そういうジャンルのマンガ。で、主人公?のかよちゃんというのがけっこう力が抜けてて、ほかの友達たちも力が抜けてて、そういうあれでいくとひじょうに心地よい。でまぁそうなんだけれど、読んでて気になったのは、妙な読みにくさで、なんかどのセリフをどの登場人物がどういう順番で喋っているのかがわかりにくいんである。マンガには登場人物の発話をあらわす「フキダシ」というのがあるのだけれど、べたなマンガだとそれが登場人物の口のところからにゅっと出てきているので一目でわかるのだけれど、それがそうなっていないので、どのフキダシがどの登場人物の発話なのかがしばしば混乱する。また、会話というのはしばしばコマをまたがって行われるわけで、そうすると余計にわからない。というわけで、読みながら、なんか、映画で言うと脚本は悪くなくて俳優の演技も悪くないのだけれどカットの割り方とか音声の録音とか、あと編集とかが妙にゆるくて、まぁそれはたぶん映画文法を大胆に無視しようというような種類の意図は特にない、たんなるゆるさ、というかんじと思った。まぁもちろんそれは、ある種のよさでもあって、つまりこの同じ話を、マキノ雅弘の切れ味いいカット割りと無駄のない完璧な編集で見たら、それはそれでせわしないかもしれない(し、そもそもマキノが撮ったらこのうだうだ話そのものがほとんど脚本から刈り込まれて、お話が無くなってしまうかもしれない)。