『桐島、部活やめるってよ』みた。映画系女子の人が薦めていた。たしかにすごくよかった。高校の空気感。

桐島、部活やめるってよ (本編BD+特典DVD 2枚組) [Blu-ray]

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この本(http://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20141129#p1)で薦めてあって、機会があればぜひと思ってつい最近も思っているうちにBSでやってたので見た。たしかにすごくよかった。高校というところの空気感というのがあって、見ていても息が苦しくなってくるようだった。体育の授業のサッカーの場面で、まさにあの通りであったのを思い出して胸を突かれた。べつにこれ現在の高校だからということでもなくて、四半世紀前の自分のころから同じだったし、もちろん今めのまえにいるような学生さんたちはついわずかばかり前まであんな調子だったのだろうし、ひょっとしていまでもそんな感覚の学生さんだっているのかもしれない。ある高校の生徒たちが登場人物で、だけど主人公というのはたぶん「部活」というもの、そのもので、クラスの女王蜂やらイケメンやらといった帰宅部の連中も含めて全員が、「部活」の存在感のなかに、あるいは「部活」の存在感を背景にして、自分の位置を見つけているのだし、だから学校生徒の頂点である、なんかの大会かなにかに出場かなんかしたというバレー部のキャプテンである「桐島」が部活をやめるらしいという情報が生徒のあいだにひろがったことで、桐島の彼女のはずの女王蜂こと山本美月はじめ、桐島の親友のはずの(たぶん野球部のエースか何かだったのが故障でやめたとかそういう設定であろう)東出昌大とか、東出の帰宅部ツレのイケメンたちとか、バレー部エースのジョックス野郎とか、みんなが方向感覚を狂わせ始める。でもってその波紋が、スクールカーストふうのヒエラルキーの頂点あたりの人間関係の見せかけの秩序のなかに一瞬、ほころびを顕在化させる、みたいなおはなし。でもってそのいっぽうで、「部活」に打ち込むことで居場所を見つけてる者たちもいるし、それはたぶん往々にして才能がなかったりスター選手になれなかったりモテなかったりするなかでそれでもなぜか「部活」に打ち込んでいるような者たちで、そしてそういう者として、「部活」のヒエラルキーの最下層、映画部の神木隆之介とボンクラな仲間たちはボンクラなゾンビ映画を撮影するわけで、それは、戦おう、この世界で、俺たちはこの世界で生きていかなければならないのだから、ということでもあるわけなのだけれど、たぶんそれはクラスの女王蜂やらイケメンやらといった帰宅部の連中も含めて全員のことなのだろうね。