- 作者: 野矢茂樹,西村義樹
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2013/06/24
- メディア: 新書
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同僚の先生が認知言語学がご専門で、以前いっしょに研究会をやったり、エスノメソドロジーのものをいっしょに読んでいただいたり、で、先日はセシル・テイラー京都賞でもりあがったりしていたわけなのだけれど、それはそれとしてこちらの理解能力のもんだいとして「認知言語学」というのの輪郭を自分はもうひとつはっきりと理解してなかった。というのも、こちらの問いかけ方として、「言語学の人」という括りであれこれ問いかけてたわけで、向こうもこっちの問いかけに合わせて応答してくれてた面もあっただろうわけで、だから「社会学と言語学はちがうなあ」というところでこちらの理解がとまっていたというところはある。そして、言語学というものについての自分のイメージが、なんとなく生成文法周辺のようなもので、つまり「統語論の自律性」ありき、それこそ言語学の基本、というイメージがあったので、そうすると、ときどき先生のお話をうかがっていて、(あれ?そんなに色んなことを文法ではなく語彙のほうに任せてしまっていいのか?)と感じたりもしていたんである。
で、この本、哲学者の野矢という人が認知言語学の人のレクチャーを受けるみたいな体裁で、対談形式なのだけれども、非常によかった。やっていることは私が同僚の認知言語学の先生に話を聞くことと同じはずなのだけれど、やはり聞き手の差がここに出てしまうのであった。いやまぁ、認知言語学の入門の本を作るという目的で会話をしてるので当然そうなるのだけれど、聞き手の合いの手の入れ具合、疑問の呈しかた、微妙なところの追及のしかた、がいいので、認知言語学というものの輪郭がけっこうクリアに描き出されてるのである。ああ、同僚の先生が言ってはったのはこういうことなのかというのを、新書本経由で後から知る的な。