CRN「子どもデータ検索」

http://www.crn.or.jp/cgi-bin/LIBRARY/disp_search.pl

Benesse教育研究開発センターでは,1万件以上に及ぶ子どもに関する意識,実態調査データがあります。(一部保護者,教師への調査も含む)。

これらのデータをキーワードや調査対象別,調査年度別などの分類で検索することができるサービスをCRNサイトでは提供しています。
※データはPDFファイルにて作成しています。

ほうほう。

●「子どもデータ検索」〜その誕生と魅力
(2005年4月25日)

大学のレポート、学級通信、企画書などを書いているときに、「こんなデータがあったら説得力が増すのになぁ…」と思ったことはありませんか? CRNの人気コンテンツの一つである「モノグラフ」はそんなときに役に立つ調査データです。この調査データを、より役立つものにしているのは「子どもデータ検索」かもしれません。

「モノグラフ」休刊に際して、この「子どもデータ検索」の産みの親であるCRNスタッフの黒河内利臣さんに、この検索システムの誕生秘話とお得な活用方法を紹介してもらいました。


子どもデータ検索とは

子どもデータ検索は、小中高「モノグラフ」のデータを検索できるシステムです。過去全てのモノグラフの図表タイトルについて、キーワード検索だけでなく、調査対象や調査年次、もちろん冊子ごとでの検索も可能になっています。

「モノグラフ」は、小・中・高校生の意識や行動について行ったアンケート調査の結果をまとめたものです。各回ごとにテーマが設定されており、1980年頃以後、小学生版は181回、中学生版は79回、高校生版は73回と、それぞれを対象とした「モノグラフ」が発刊されてきました。(各モノグラフは発刊開始時期が異なります)

1980年代以降20年以上も、テーマは異なるとはいえ、継続して実施された調査は珍しく、子どもの意識や行動について、非常に貴重なデータを提供してくれるものでもあります。この貴重なデータを検索できるようにしたものが「子どもデータ検索」です。


子どもデータ検索の起源

「中学生の自宅での勉強時間を調べたようなデータはありますか?」

パソコンやインターネットがまだ普及していなかった1996年頃、ベネッセ教育研究所(当時)にはこのような問い合わせが、マスコミからたびたびありました。研究所のスタッフは、過去の「モノグラフ」冊子から該当する図表を探し出し、コピーをとり、FAXや郵送で回答をしていました。

しかし、問い合わせのたびにスタッフたちが記憶を頼りに冊子をめくり、該当するデータを探し出すのは効率が悪いものでした。そこで、冊子ごとに全ての図表タイトルをテーマで分類して、閲覧できるようにと、スタッフの手入力によるワープロで作成された「モノグラフ事典」が誕生しました。これが、現在の「子どもデータ検索」の起源です。

この「モノグラフ事典」も、モノグラフの新刊が出るたびに更新せねばならず、その更新作業を効率良く行うために、ワープロではなくパソコンの表計算ソフトで作成・更新・検索する方法へと変更しました。その後、「モノグラフ」冊子はCRNサイト上で公開されるようになり、この「モノグラフ事典」をもとに「子どもデータ検索」はつくられました。1999年ころのことです。

現在でも「***のデータはありませんか?」という電話はよくかかってきます。そんなときに「子どもデータ検索」をご案内したり、CRNのホームページのURLを伝える声を聞くと、少し嬉しい気分になります。


「子どもデータ検索」のお得な利用方法

「モノグラフ」の特長として、そのテーマの豊富さに加え、約四半世紀にわたる調査データの蓄積があげられます。子どもに関する事情を知る際に、最新のものだけでなく、多様な角度からのヒントを得たり、複数の結果を利用することで現在と過去との比較をしたりすることも、可能になっています。学校の先生や親が、子どもの意識を知る手がかりとしたり、大学生がレポートや論文のネタ探しに利用するなどが可能です。

例えば、最新の子どもの携帯電話使用事情を確認するために、関連するキーワードを検索すると、モノグラフ中学生の世界(以下、中モノ)vol.71「中学生とメディアとの接触」や、モノグラフ高校生(以下、高モノ)vol.63「電子メディアの中の高校生」などのデータを参考にできます。比較的新しい子どもの様子を垣間見る一方で、中モノvol.38「情報化社会と中学生」も併用すると、より鮮明に最近の子どもたちのメディアへの接し方を再確認することもできます。そこから現在の子どもたちの、携帯電話やメディアへの関心の高さについて、学校現場や家庭同士で話し合うこともできるでしょう。
「中学生とメディアとの接触
「電子メディアの中の高校生」
「情報化社会と中学生」

また、「子どもデータ検索」では、「調査年」を変更することで、近年のものに絞り込むことも可能です。例えば、近年子どもたちの学力低下が言われていますが、それに関連して、子どもたちの家庭での勉強時間について、近年のデータと過去のデータを比較することもできます。

子どもたちについてだけではなく、その子どもたちをめぐる大人たち、父親・母親や学校の先生などを対象にしたものもあります。「子どもデータ検索」では、「調査対象」を「母親」や「教師」などにも変更できるので、それを利用します。

例えば、母親に焦点をあてたものとして、モノグラフ小学生ナウ(以下、小モノ)vol.24-2「いまどきのお母さん」や、中モノvol.46「日本の母親、韓国の母親」などのデータを検索することができます。学校教師対象のものでは、中モノvol.68「中学教師は訴える」、高モノvol.67「教育改革期の高校教師」などがあります。いずれも、子育てや教育に悩む大人の立場から、大人たちの意識や事情についても、明らかになります。大人同士の子どもへの対応の方法などを話し合う際に有益な資料となるでしょう。
「いまどきのお母さん」
「日本の母親、韓国の母親」
「中学教師は訴える」
「教育改革期の高校教師」


最後の更新を終えて
「モノグラフ」休刊に伴い、「子どもデータ検索」のデータ更新も最後となりました。実は「子どもデータ検索」のデータは、「モノグラフ事典」のころと同様に、冊子を片手にキーワードを拾い、表をつくり、手作業で登録しているのです。

「モノグラフ」冊子の執筆もしたことがあるのですが、「子どもデータ検索」というフィルターを通してみてきた「モノグラフ」は、多少のタイムラグはあるにせよ、その時々でタイムリーなトピックの調査・報告を行っています。何かとオトナにとっては見えづらい、小・中・高校生の事情などを垣間見、子どもたちをよりよく理解することに、今後も「モノグラフ」そして「子どもデータ検索」を役立てていただければ幸いです。