日本教育学会ウェブサイト「(公示)『教育学研究』電子アーカイブ化に伴う著作権処理について」

んー? 改めて見てみると、これおもしろいかな。
日本教育学会には、私は入ってなくて、お隣の学会ってことなのだけれど、おもしろそうなので。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsse4/kouji.html

(公示)『教育学研究』電子アーカイブ化に伴う著作権処理について
平成17年度より、「特に重要な学術雑誌について過去の紙媒体の論文に遡って電子化(電子アーカイブ)する事業」を進めている独立行政法人科学技術振興機構JST)は、平成18年度に電子アーカイブ化する学術雑誌の一つとして、日本教育学会の機関誌『教育学研究』を選定しました。今年度は、全部で612の候補誌のなかから65誌が選定を受けましたが、そのなかで『教育学研究』は、数少ない人文社会科学系の雑誌の一つであります。これにより、『教育学研究』は第1巻よりすべて電子アーカイブ化され、ネット上で閲覧が可能になります。今後、収録されている論文が引用される機会も増えていくことが期待されます。
日本教育学会(昭和16年発足)は、東京文理科大学教育学科の研究紀要『教育学研究』(昭和7年創刊)を引き継ぐ形で、『教育学研究』を学会の機関誌としてきました。『教育学研究』は通算73巻刊行されていますが、このたび電子アーカイブ化されるのは、2005年末に刊行された第72巻第4号までで、全頁PDF化されますが、電子アーカイブ上に公開されるのは論文のみです。この作業は、すべてJSTが進めることになっています。そのさい、これまで『教育学研究』に掲載されている論文について、電子アーカイブ化に伴い、「著作権のうち特に複製権と公衆送信権の行使」について、原著者に許諾していただくようにとJSTから求められています。
日本教育学会では、これまで、『教育学研究』に掲載された論文について、版権は学会に、著作権は原著者に、という原則でのぞんできました。今後ともこの原則は引き継いでまいりますが、JSTが電子アーカイブ化に伴う複製権等を行使するのを許諾していただくよう、原著者に求めていかなければなりません。しかし、『教育学研究』の創刊号に遡って、収録されているすべての論文について、原著者にこの件について周知し、了承を得ることは不可能に近いことです。そこで、この「公示」をもって、JSTによる複製権等の行使の許諾をお願いするしだいです。今回の電子アーカイブ化に賛同されない原著者は、2006年12月31日までに学会事務局に文書で申し出てください。原著者から申し出のあった論文については、電子アーカイブ化の対象から外すことにいたします。
会員各位におかれましては、本件についての情報を、すでに学会員ではなくなっている旧会員の方々にも、広く伝えてくださいますようご協力をお願いします。
2006年8月23日

じつはうちの学会の学会誌はもう電子化されてweb上で無料公開されているのだが、それについては、いいことやぐらいに思っていた。
ていうか、もともとわたくしは、自分の書いたもので自分のところの研究室紀要に書いたようなものは著作権とかうるさくないのでどんどん自分のHPで公開することにしていて、それが学会誌だと万一のことを考えて公開できていなかったので、学会さんのほうで公開してくれたのはむしろ歓迎だった。
なのですが、
こうしてあらためてよその学会さんのケースで「公示」を読んでみると、
えー?こんな公示の一文を(該当著者の全員が読むとはとても思えないのに)ちらっと出すだけで著作権(の一部)を巻き上げるようなことを、
学会が、というか「独立行政法人科学技術振興機構JST)」さんが、率先しておこなうことが、科学技術振興にとって
プラスなのかマイナスなのか
というのは、ちょっと考える余地はあるかも。

私自身は、さっき書いたように、学会誌の論文なんてどうせ図書館で眠っていて、文献複写でコピーされるだけなので、複製権だかなんだかを頑なに自分で握ろうとしていても、読まれなくなるだけだよなあ、と思っている。
でも、じつは、学会誌に出た論文をアンソロジーに入れてくれるという話があって、そのアンソロジーを出す出版社から「著作権の何とかかんとかを許諾してくれ」みたいな手紙が来たことがある(ほいほい許諾しました)。
でも、学会誌の論文ってすでにwebで無料公開されてるんで、本になっても商品価値がかなり目減りしてるんじゃないか、とも思った。
そうすっとですね、
青色発光ダイオード裁判ほどのものではいずれにせよないにしろですねえ、
今の社会的な流れからすると、
著作権は著作者の下に、っていう考えをより強めることで自己責任・自己利益・自由競争
みたいになってもおかしくないんじゃないか、と思えてきた。
そうすっと、
都合のいいときだけ個人から権利を巻き上げようという
学会や「独立行政法人科学技術振興機構JST)」さんは、科学技術を振興しとるのか、モティベーションをあがらなくしているのか、
という理屈を考えるのは面白いかな、と。
ま、いずれにせよ
教育学の学会誌の論文で数百億円の利益を上げることなどないのでどうだっていいのですけどね。