「大学や学校に「競争原理導入」 教育再生会議第2次報告」とか。

http://www.asahi.com/edu/news/TKY200706010334.html
大学や学校に「競争原理導入」 教育再生会議第2次報告
2007年06月01日
 政府の教育再生会議野依良治座長)は1日、総会を開き、安倍首相に第2次報告を提出した。大学など学校間に競争原理を導入することで予算配分の適正化や教員の資質向上をめざすことを提言。授業時数(コマ数)を増やすために、必要に応じて夏休みや土曜日を活用することも打ち出した。個人の価値観にかかわる分野では、現在の「道徳の時間」を「徳育」として教科化することも提唱している。
 この日の報告は今年1月の第1次報告を具体化したもので、その内容は6月中に閣議決定する政府の「骨太の方針」に盛り込まれる。安倍首相は1日夜、首相官邸で記者団に「こうすれば日本の教育は良い方向に変わっていくという提言をいただいた」と語った。
 第2次報告には、第1次報告の目玉の一つだった「ゆとり教育の見直し」のための授業時数10%増の具体策として、夏休みや朝の15分、土曜の活用が盛り込まれた。土曜授業については、週5日制を基本としつつ、教育委員会や学校の裁量で必要に応じて補習などを実施できるとしている。
 学校への競争原理導入は第2次報告の柱の一つで、成果に応じて国が予算配分する仕組み作りを要請している。学校間の競争によってレベルの底上げを図る狙いがあるが、学校間格差が拡大する恐れもある。
 大学・大学院について「選択と集中による重点投資」と明記。国立大学法人運営費交付金は「基盤的経費を確実に措置する」とする一方で、研究・教育などの評価に基づいて「大幅な傾斜配分を実現する」とした。また、教員の人事・給与の年功序列をやめ、業績に連動した給与体系の導入を求めている。
 小中学校では「地域の実情に留意」したうえで、教育委員会の独自判断で学校選択制を導入できるようにし、児童・生徒が多く集まった学校に予算配分を厚くする仕組みを検討。教員給与は勤務評定を踏まえた給与体系にすることを提言し、08年4月をめどに教員給与特別措置法を改正することを打ち出した。
 首相がこだわる「高い規範意識」の育成をめざす方策も盛り込まれた。子どもの凶悪犯罪やいじめ、学級崩壊などが頻発していることから「規範意識や公共心を身につけ、心と体の調和の取れた人間になることが重要」と指摘。そのために「徳育」の教科化を打ち出した。点数評価はしないが、文科省検定の教科書を使用するとしており、道徳や規範の枠組みを国が「検定」することに異論も出そうだ。
 家族や子育てに関しては、中学校、高校の家庭科で「生命や家族の大切さ、子育ての意義・楽しさを理解する機会を拡充する」と表記。ただ、母乳育児や子守歌の効用をうたった「子育て提言」は、政府・与党内からも異論が噴き出し、最終的に断念した。
     ◇
■第2次報告のポイント
教育委員会や学校の裁量で、夏休み活用、朝の15分授業、土曜授業を実施して授業時数(コマ数)を10%増やす
●公立学校教員給与は評価を踏まえた体系にする
教育委員会に「学校問題解決支援チーム」を設置、課題のある子どもや保護者との意思疎通に問題がある場合に解決に当たる
●現在の「道徳の時間」を徳育として教科化する
全国学力調査の学力不振校に改善計画書を提出させ、国や教委は特別支援を行う
●幼児教育の将来の無償化を総合的に検討する
●大学・大学院での9月入学の大幅促進のため、学校教育法施行規則を改正する
●複数の大学が大学院などを共同設置できる仕組みを創設し、国立大を大胆に再編統合する
国立大学法人運営費交付金は、基礎的な部分を確実に措置すると同時に、各大学の努力と成果を踏まえた配分になるよう新たな方法を検討する

はいおつぎ。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070602ur01.htm
全国立大に9月入学枠
 政府の教育再生会議野依良治座長)は1日、首相官邸で総会を開き、大学への9月入学の拡大、小中学校での授業時間増に向けた土曜授業の活用と道徳の教科化などを盛り込んだ第2次報告を決定し、安倍首相に提出した。
 特に9月入学では、全国立大に新たな入学枠を設けるための今年度中の関連法改正を政府に求め、首相も伊吹文部科学相に対応を指示した。
 報告は「公教育再生に向けた更なる一歩」と題し、「学力向上」「心と体」「大学・大学院改革」「財政基盤の在り方」の四つの柱からなる。第1次報告の「授業時間10%増」の具体策として、夏休みや土曜の活用、1日7時間授業の実施を提案したが、週5日制を基本とする制度は見直さなかった。
 規範意識の向上のため、「道徳の時間」を教科「徳育」に格上げし、指導を充実するよう求めた。点数評価はせず、免許も設けないが、検定教科書や副教材を使用することを想定している。家庭教育の支援や育児相談の充実など、「子育て提言」の一部も盛り込んだ。
 大学・大学院改革では、留学生の受け入れ拡大を通じて国際化を図るとした。国立大での運営費交付金の配分方法の検討、大学や学部の再編も打ち出した。
 こうした中で、9月入学枠の設定のほか、〈1〉土曜授業などのための今年度中の学習指導要領改訂〈2〉道徳の教科化のための今年度中の指導要領改訂〈3〉教員給与体系にメリハリを持たせるための08年4月をめどとした教員給与特別措置法の改正――を「四つの対応」とし、政府が優先して取り組むよう求めた。
(2007年6月2日 読売新聞)

はいおつぎ。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20070602ddm041010180000c.html
教育再生会議:2次報告 学校も親も困惑 授業時間増、学力につながる?
 ◇「心の問題」を評価できるのか
 「授業時間を増やせば、学力が伸びるとは言い切れない」「学力アップの取り組みは必要」。1日、政府の教育再生会議がまとめた第2次報告。安倍政権が掲げる学力向上のため盛り込まれた「土曜日授業」などに、学校現場では戸惑う声が目立つが、条件付きで賛成する意見もある。一方、親たちの反応もさまざまで、賛否は分かれた。「徳育(道徳)の教科化」については、教師らから「規範意識はいくら知識で教えても定着しない」と疑問が投げかけられた。【まとめ・高山純二】
 ■土曜授業復活
 学校週5日制は学校だけでなく家庭や地域と一緒に子供の「生きる力」をはぐくむことなどを目的に02年度から完全実施された。名古屋市の中学校に勤務する男性教諭(39)は本来の目的を強調したうえで「学力が低くなったから土曜日で補うというのは安易な考え」と批判する。「学力低下の最大の原因は『学ぶ意欲』の低下。現状のまま土曜日の授業を増やしても学力向上につながらない」(神戸市の高校教諭=53歳)と効果に懐疑的な声も多い。
 しかし、学力低下への危機感も少なくない。大阪市の中学校長(59)は「学力低下の実感がある。授業時間を増やして深い内容を教えられるようにするのは賛成だが、人員の手当てが必要だ」と条件付きで賛成する。
 土曜日授業には課題や問題点も山積し、教員の負担増や保護者の協力を心配する意見のほか、「教育委員会も同じ勤務体制にならないと困る。事故が起きた場合、報告は週明けというわけにいかない」(栃木県日光市の小学校長=59歳)との声も。
 ■徳育教科化
 徳育(道徳)の教科化では「評価」が最大の関心事だ。札幌市の小学校教諭(51)は「心の問題は踏み込んではいけない領域。教科にした場合、どう評価するのか」と困惑する。第2次報告は「数値評価」を否定しているものの「ほかの評価方法について具体的な審議は中央教育審議会に任せる」(再生会議事務局)と評価に含みを持たせる。東京都内の小学校教諭(52)は「今は点数化しないと言っても、そのうち定着度を見る数値評価が入ってくるだろう」と話す。
 高校では00年12月にまとめられた教育改革国民会議の提案と同じ「奉仕活動の必修化」も提言された。福岡市の高校の校長(60)は「徳育は必要だと思うが、教科以外の日々の(教員らの)接し方が大事だ。奉仕活動もそもそも『ボランティア』の言葉の意味と矛盾している」と指摘する。
 ◇「家庭のリズム崩れる」
 親の関心は、主に授業増の問題に集中した。
 「土曜の授業はぜひやってほしい」と話すのはフリージャーナリストで4人の子供を育てる猪熊弘子さん(42)=東京都大田区。「土日に家で学習させろと言うのは無理。結局、塾や習い事に通って、金がある人とない人で差が出る。今のゆとり教育自治体が子供に金をかけず、家庭に求めているだけだ」と言う。
 一方、小6の男児がいる埼玉県新座市NPO「新座子育てネットワーク」代表、坂本純子さん(45)は「長期休暇の短縮はまだしも、土曜も授業というのは子供にとって負担」と言う。「2日休むのが家庭のリズムになっており、親も子も混乱しそう。土曜休日で子供と向き合う時間が増え、地域交流の場も復活してきているのに。朝令暮改の感が強い」と憤る。
 また、小学生の2児の父で、父親を支援するNPO「ファザーリング・ジャパン」(東京)の安藤哲也代表理事(44)は「授業増の是非の前に、PTAや学校など現場の声と関係なく、トップダウンで決められたことに抵抗がある」と、その手法を批判する。「ゆとり教育の転換だが、その総括はどうしたのか。大人がぶれるから子供もぶれる。子供より大人の教育が必要ではないか」
 徳育についても意見はさまざま。子供2人をもつ自営業の男性(50)は「愛国心は本来当たり前。しかし、それを利用して『間違った愛国心』に導くような恐れを感じる」と批判する。小2の長男がいる東京都内の公務員男性(44)は「道徳の充実は賛成。提言は意味があることだと思う。しかし、まずは親がしっかりしないといけない」と注文をつけた。
 ◇強制は反発招く−−弁護士で財団法人「さわやか福祉財団」の堀田力理事長の話
 道徳は子どもたちがいろんな行動や体験の中で習得していくものであり、強制的だったり画一的に教えるものではない。強制的に詰め込めば子どもが反発するだけだ。教育再生会議は「上から管理し教え込む」姿勢に終始している。こういう発想は時代に合わないということを理解した方がいい。教育は学校現場に委ねるべきだ。
毎日新聞 2007年6月2日 東京朝刊