夜中にフリー風味ジャズを。ドルフィー参加の『ザ・ラテン・ジャズ・クインテット』と、アーチー・シェップ『ラヴァー・マン』。

ザ・ラテン・ジャズ・クインテット(初回限定盤)(紙ジャケット仕様)

ザ・ラテン・ジャズ・クインテット(初回限定盤)(紙ジャケット仕様)

Lover Man

Lover Man

『ザ・ラテン・ジャズ・クインテット』のほうは、ヴァイブ+ピアノ+ベース+コンガ+ティンバレスのラテンジャズクインテットドルフィーがゲスト出演で加わって吹きまくっている。帯に書いてある通りに、「志の高い」クールなサウンドですね。曲はジャズのスタンダードで、ヴァイブがクールで、ドルフィーが抽象的で、リズム隊がサルサ乗り。基本がラテンバンドなので一般大衆むけ、と思いきやのひねり。
『ラヴァー・マン』のほうは、シェップの志がぐっと低くなった88年のTimelessレーベルへの録音で、もとフリーの人間に甘口のスタンダードをやらせて売ろう、というかんじの企画、なのだけれど、じつは、大昔にラジオで「ラッシュ・ライフ」をエアチェック(!)して愛聴していらい、10年以上越しでずっと探していたディスクなのだった。たぶん無名の女性ヴォーカル、アネット・ローマンって人をフィーチュアしていて、まぁこの人はかなり音程があやしくてちょっとひやっとするのだけれど、歌伴に回ったりソロを取ったりするアーチー・シェップのサックスは、やはり聴いてて背筋が伸びる。で、「ラッシュ・ライフ」って曲が大好きなのはこの演奏を聴いたからだ。そんでもって、エリントンが好きになったし、とくにビリー・ストレイホーン名義の曲が好きになった。今聴いてもやはりいい。アネットさんは音程が怪しいけれどちょっとハスキーな声がいいかんじで、バックのリズムは軽いボサふうでいかにも売る気が透けて見えるのだけれど、アーチー・シェップのサックスは、塩辛くて&どすが利いていてよろしいのである。