坂本龍一の教育テレビ「スコラ」ってのの第一期が終わった。なんだかね。

schola 坂本龍一 音楽の学校
音楽を、まぁ教養主義的なノリでクラシックからポピュラーまで、お勉強していく、というノリは、好きだ。坂本龍一の「サウンドストリート火曜」で育った世代でもある。なので、4月から録画しながら見ていた。
のだけれど、まぁ4月の「バッハ」はともかくとして、5月の「ジャズ」でじゃっかん?って感じになって、6月の「ドラムス&ベース」というテーマはさっぱりだった。まぁ、音楽についてこういうノリで接するのが初めてな人たちには、あんなもんでよかったのかもしれないのだけれど、しかしなあ。
「ジャズ」の回では、山下洋輔がゲストで、毎回坂本をまじえてセッションをやったりするのだけれど、そうすると坂本龍一という人がジャズが弾けないということがばればれになって、見ててきびしい。まぁ、ピアノを一人で弾かせてもらえれば、たぶんビル・エヴァンスを真似ればいいだろうぐらいのつもりには見えて、エヴァンスの和音なら俺はドビュッシーを知ってるからまかせろ、みたいに見えたのだけれど、ざんねん、山下洋輔がもう一台のピアノを弾いていて、バップ+乱れ打ちによって演奏のドライブ感を支配してしまっていたので、エヴァンスふうなんて出る幕がなかった。そうすると、坂本は、たんにへたくそなフレーズをちょこちょこと弾いて山下の後をまねて追いかけるだけになってた − ように見える。なので、NHKのサイトで番組プロデューサーのコメントで「また、山下さんとの丁々発止のジャズバトル(笑)も迫力満点でした。」なんて書いてあっても、えー?というかんじ。
ただ、中学高校生との「ワークショップ」のコーナーでは、大谷某と山下洋輔が指導して、中高生に「モード」でのソロ演奏ふうのことをさせていて、これはなかなか悪くなかった(し、「バッハ」編で坂本ごのみの優等生振りを発揮していたピアノ少女が、これまたジャズが弾けないことを露呈してしまっていたところも、いたたたたァと思いつつおもしろかった。そういうもんなんだね)。
ところが、「ドラムス&ベース」編に入って、ユキヒロと細野さんとピーター・バラカンを交えてあれこれ喋るのだけれど、ホストの坂本だけがリズムのことをわかってなくてしかも偉そうに説明しようとする(すればするほどわかってないのが露呈される)のが、きびしかったし、なにより、「ワークショップ」のコーナーをなぜかその坂本が仕切って、小学生にリズムを教えるとかやってたのが、これはもう犯罪的にダメだった。素人の私が見てもあきらかなぐらい、ひどかった。小学生たちが、4回のワークショップでだんだん目が死んでいくのがわかるという。なんでユキヒロと細野さんにやらせなかったんだろう。
ワークショップ4回目でようやくユキヒロ&細野さん登場で、番組サイトの紹介文によれば

ワークショップでは、小学生がイエロー・マジック・オーケストラ坂本龍一さん、細野晴臣さん、高橋幸宏さんの講師陣とリズムだけで構成される曲の演奏にチャレンジする。

ってなってるけど、実際には、小学生たちが輪になって体育座りで座らされて、子どもの手に余るような太さの竹を両手に持たされて坂本に命令された拍子をカンカンカカン、カンカンカカン、と延々叩かされていて、そこからちょっと離れたところでYMOの3人が、ようするにてきとうにR&B的にグルーヴしてる、という。せめて、身体性だのなんだの言うのであれば、せめてですよ、子どもたちに三角座り(cf.竹内敏晴)をさせててはいかんし、子どもたちを自由に立ち歩かせながら、YMOの3人を囲むかんじで、好きなように拍子をとらせる、というふうにすべきだと思うし、そうやってるうちに全体としてグルーヴが出てきたら、それこそ子ども達と一緒に演奏した、というふうに言えると思うんだけれど。

NHKの番組サイトを見ていたら、この番組企画はそもそも、同タイトルで坂本が監修しているCD選集の連動企画らしく、まぁ坂本の商売の宣伝ということのようである。そして、そっちのサイトを見ると、坂本の「講義」の動画が出ている。
http://www.commmonsmart.com/schola/schola2.html
http://www.commmonsmart.com/schola/schola2_2.html
いやしかしこれはちょっといかがなものかね。
ジャズの講義、ということで、目の前にキーボードも置いているのだけれど、弾くのは、山下洋輔に言及するときに一瞬、滅茶苦茶を叩いて肘打ちをして、山下洋輔の真似、みたいなことをするだけ。まったく、それ本人の前でもう一編やってみろ、っていうかんじではある。

ま、それも含め、「わからない人って、ほんとにわからないんだなあ・・・」という、それがわかったっていうか。