『ゴダールと女たち』。帯の惹句がよかった。

ゴダールと女たち (講談社現代新書)

ゴダールと女たち (講談社現代新書)

新刊予告で気になって、書影を見たら帯にデカデカとした惹句がかかげられていて、いわく


女に逃げられる
という
天才的才能

これはなかなかおもしろそうで、発行日を待って本屋へ。
で、まぁ、惹句がよかったな、と。ていうかこの惹句については序文冒頭であっさり記されている通り大島渚ゴダール評から来ていて、そうすると面白いのは大島ではないか、ということにもなりかねなくて剣呑である。
ジーン・セバーグアンナ・カリーナアンヌ・ヴィアゼムスキージェーン・フォンダ、アンヌ=マリ・ミエヴィルという5人にそれぞれ一章ずつ設けて(ジェーン・フォンダについては、「番外」というかたちだけれど)、それぞれの女優との接点からそれぞれの時期のゴダール作品を(あるいはゴダールと接点を持った女優たちを)読む、みたいな筋書きなのだけれど、のっけからあきらかなように、そういう言い方をすれば70年代よりこっち40年ずっとゴダールのパートナーだったのはなんだかんだいってアンヌ=マリ・ミエヴィルで、時期、みたいなことをいえばほとんどずっとミエヴィル時代ってことになりそうなもんなのである(しかもミエヴィルだけは女優ではないし)。ジーン・セバーグアンナ・カリーナアンヌ・ヴィアゼムスキー、にそれぞれ一章を設けて「ゴダールを通過した女優たち」みたいな切り口を枠組にするということじたい、それこそなんだかんだいって59年『勝手にしやがれ』から60年代のゴダールをおもくそ特権化しとるやんかと思えなくもない。
みたいなことをぶつぶついいたくなるのは、なんか、この本、著者の私的な思いみたいなものをちらちらさせるようなところがあって、なんかそのやり方が妙にこっちの思い入れからしてイラッとするところがあったので、まぁふつうにいってゴダール紹介の軽い本ということではいい本だろうなと思いつつ、ぶつぶついいたくなったわけである。