- 作者: 山崎ナオコーラ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/11/18
- メディア: 文庫
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とにかくみんな、やたらと真理を語りたがる。
世間に対して牽制を行い、いま対峙している困難、これから対峙するであろう困難に対し、あたかも”すべて把握・予想していました”という身構えで乗り切ろうとする姿は、自衛の姿勢に他ならない。
というように書いてしまうあたりは、悪くない。でもって、
登場人物たちは各々が真理を見出すが、発見されるそれらの真理へ、当事者以外の誰かが注意を向けるということはない。
各々が発見した「真理」自体は、対峙する人々との関係性を直接的に動かすことはない。
関係性を動かすのは、「真理」と「真理」の「中間」にある、発生しては消えゆく会話の数々だ。
登場人物たちこそ真理を言いたがるが、この小説自体は、徹底的なまでに結論や極論めいたものを排除した形式になっている。
うまいこというなあ。