『フィールドノート古今東西』。フィールドノートの使い方あれこれ。研究の手の内を訊かれてウキウキと語る研究者たちのテンションがたのしい超いい本。

フィールドノート古今東西(FENICS 100万人のフィールドワーカーシリーズ13)

フィールドノート古今東西(FENICS 100万人のフィールドワーカーシリーズ13)

なんか評判をみて面白そうだったので通勤電車で。で、超おもしろかった。「100万人のフィールドワーカーシリーズ」というシリーズが出始めてるようで、その一冊。いろんな領域のフィールドワークをする研究者をあつめて、フィールドノートの使い方とかを語ってもらったという。そうすると、研究の手の内を訊かれてついついひざを乗り出してウキウキと語る研究者の人たちのテンションが、読んでて楽しいのである。フィールドワークをやるような人たちって根が楽天的なのかしら、という気もするけれど。自分はどこそこのメーカーの手帳を使ってるとか、何ミリ方眼がいいとか、防水じゃないととか、表紙は黄色がいい(落としたとき目だって見つかりやすかったから)とか、ガラパゴス島調査で現地調達したノートは表紙に亀のイラストがあってガラパゴス感が出てよかったとか、ペンを挿すところが付いててもあまり使わないから自分は切り落としちゃうとか、なんかそういう話から、フィールドノートに何をどう書く(描く)か、どういうフォーマットで書くか、あるいは「何でも」書くか、みたいな話(それぞれのフィールドノートの写真がたくさん挿入されていてたのしい)、具体的にどういう研究でどういうフィールドワークを行いその中でどういう場面で何を書いたか、でもってたとえばさいしょはとにかくなんでも書き留めておいたことが後になってからこういうふうにつながってストーリーになり研究の方向性が見えてきた、みたいな話とか、被調査者の人が「なに書いてるのか?」とか「ちゃんとメモしたか?」とかいってノートを覗き込んだり、補足をいろいろ書いてくれたり、でまたそういうふうにして被調査者の人が描いたものから、被調査者の人たちのものごとの捉え方そのものが見えてきたりとか、まぁいろいろ。具体的でおもしろいし刺激的。
ていうかとにかく、フィールドワークってたいへんだけど好きでやってるよ!フィールドノートの使い方?それ訊く?語っちゃうよ!?というかんじのテンションの研究者の人たちの語りってたのしいなあと。