『僕たちのインターネット史』。インターネット言説史、ということで、たとえば「サイバースペース独立宣言」や『ウェブ進化論』をさらにメタ的に位置づける的な、これは読むべき本。

僕たちのインターネット史

僕たちのインターネット史

通勤電車で。インターネット言説史、ということで、80年代のインターネット前史から現在に至るまで。当時のインターネットがどういうもので、インターネットがどのように語られていたか、どんな雑誌が出てどんな本が書かれていたか、というかんじでずっと追いかけながら、けっきょく今の姿のインターネットになったのはどういう経緯によってか、というおはなしにつながってくる。なので、たとえば「サイバースペース独立宣言」や「伽藍とバザール」が、とか、『ウェブ進化論』が、とか、それぞれどんな文脈で出てきて読まれたか、そこにどんなイデオロギーがあり、どんなインターネット技術が想定されていて、みたいなことをさらにメタ的に位置づける、という話になってきて、おもしろい。これは読むべき本。
ただ、なんとなく自分的なほうに引き寄せてインターネット史を思い浮かべたときに、糸井重里と「ほぼ日」、それと『インターネット的』という新書本の存在感というのはかなりあって、それがほとんど登場しない(糸井重里は、「インパク」がらみとか、あとインターネット雑誌に登場する文化人枠みたいな文脈でちらっと言及される程度)のが不思議だった、っていうか、つまりそれは、自分が見ていたインターネット、という視点ということなんだろう。