『イヌミチ』みた。

イヌミチ [DVD]

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万田邦敏監督、ということで、見たら、映画美学校、というクレジットが出てきて、学生さんと一緒に撮ったとかなのかしらと思いつつ。れいによってさいしょに女優が出てくるのだけれど、なんとなく新人ぽいというか学生さんぽいというか、『UNloved』や『接吻』のときみたいな女優オーラの圧みたいなのはじゃっかん薄いのだった(まぁ小池栄子の目力のほうが異様すぎるってのはあるけれど)。それはそれとして、お話は、主人公女子があるとき偶然会った気持ち悪い男の家で犬のまねをして過ごす、というまぁそういうかんじの、まぁ万田邦敏っぽい演劇的な男女の権力関係のドラマ(・・・ていうか「権力関係」ゲームを演じる男女のドラマ、か。ていうか主人公女子が、「犬になる」ことによって主従関係の服従の位置に身を置いて「何も選ばないで命じられるままに生きる」という解放を得る、というわけなので、あくまでゲームであって権力関係そのものはほんとはないのだな)。その抽象的な権力関係を、「犬になる」という具体に落とし込んでるのが工夫なわけで、同時に、本当に犬になってしまうとか苛酷に犬扱いするとかそういうわけでもないので、そこんところをあまり詰めて考えながら見るものではないのだろうなと思う。脚本は映画美学校の学生さんとのこと。70分ほどの作品。そういえば、松浦理英子『犬身』というのがあって、あれは小説で(文字で書く分には何でもできるというのはあるし)、長編だし、本作とは条件が違うのだけれど、『イヌミチ』が作られるにあたって『犬身』は念頭にあっただろうか?

『イヌミチ』永山由里恵インタビュー | レポート|神戸映画資料館

蓮實映画時評でとりあげられていたんですな。読んだはずだがそのときはひっかかりがなかったのだろう。再読。女優オーラの圧が薄いとか言ってすいません。
映画時評 2012-2014

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