通勤電車で読む『カウンセリングエッセー 人と関わる知恵』。ちょうどいい湯加減の、学生さんにも勧められる新書版。

同じ学部の先生がご著書を出されたというので学校帰りに購入、通勤電車で読んでた。『天理時報』連載のエッセイがもとになっている。天理教内の新聞のエッセイで、著者の金山先生も天理教の信仰をもっておられるので、そうした信仰や教内のいろいろな活動にかかわる話題も出てくるけれど、それもふくめて心理カウンセリングのちょうどいい湯加減のエッセイになっている。新書版で、学生さんにも勧めやすいと思う。で、著者の金山先生は天理大学で学部時代に心理臨床のベースを学び、大学院は宮崎大学大学院、その後に広島大学大学院の博士課程を出て、心理臨床家・臨床心理学者として、現在は天理大学に戻って教鞭をとっておられる。天理大学ではおおまかにはたぶん河合隼雄先生直系の、分析心理や精神分析、あとロジャース派的なものをベースに学ばれたんじゃないかなあと思うけれど、その後大学院では、認知行動療法やブリーフセラピーを学ばれて専門にしておられる。なので本書は、認知行動療法的な実際的なアイディアがざっくばらんにわかりやすく書かれていて、『天理時報』を読む一般の人や、心理専攻じゃない学生さんにもわかりやすいと思う。で、『天理時報』を読む人というのは、多くが天理教の信者さんであるわけで、教会なんかでひとの相談をうけたりひとをサポートしたりすることの多い人たちだったりもする。また、本書には学生会や鼓笛など、天理教内のいろいろな活動への言及もあり、いわれてみれば天理教内には人間関係を豊かにするような仕組みがたくさんあるので、そうした機会を心理臨床の知見をもちいて活かす、というのはおもしろいと思う。