研究室の本棚をかたづけつつ、ひさびさに蓮實重彦と江藤淳の対談本を読む。『オールド・ファッション』。

個人研究室の本が増えて収拾つかなくなってきたので、引越し以来増強した下宿の本棚の方に、あるていど引き上げることにする。文庫本の並んでいるところの奥のほうから、内田百輭旺文社文庫、福武文庫、ちくま文学の森河出文庫)がずらずらとでてきたりして楽しい。で、おなじく発掘された、蓮實重彦江藤淳の対談を読み返す。

なんとも礼儀正しくというか慇懃なというか、余裕を持っての対談で、ふたりで昭和10年代の小春日和的なブルジョワ的豊かさをなつかしんでみせている。おおこわいこわい。文庫本の解説は、渡部直己とスガ秀美の対談形式で、これがほとんどパロディになっているところがおもしろい。
しかし、昭和60年に、当時まだ50歳前後の二人の対談で、こんなに堂々たる懐旧談を披露しているところが、いま読み直して考えてみれば、うすきみわるい。

休日の朝にエロール・ガーナー『プレイズ・ガーシュイン&カーン』

どうも、夜向けの音源が多くて、休日の朝に聴くものがないんであるけれど、今日はこんな感じ。

マジシャン+ガーシュイン&カーン

マジシャン+ガーシュイン&カーン

検索したらカップリングお徳用盤になっているなあ。
これの、『ガーシュイン&カーン』の、A面のガーシュイン作品集、を愛聴している。
ガーナーというと、左手が、スイングジャズバンドのギターのようにステディなかんじでコードを刻むので、そのへんはちょっと古い感じがするのだけれど、ときどきいきなりガンガンと乱れ打ちをするので楽しい。その乱れ打ち具合がとくに楽しいのが、A面ラストの短い短い「ナイス・ワーク・イフ・ユー・キャン・ゲット・イット」で、ここではガーナーがエエカゲンに気持ちよく唄いながらピアノを乱打している。楽しい。