研究室の本棚をかたづけつつ、ひさびさに蓮實重彦と江藤淳の対談本を読む。『オールド・ファッション』。

個人研究室の本が増えて収拾つかなくなってきたので、引越し以来増強した下宿の本棚の方に、あるていど引き上げることにする。文庫本の並んでいるところの奥のほうから、内田百輭旺文社文庫、福武文庫、ちくま文学の森河出文庫)がずらずらとでてきたりして楽しい。で、おなじく発掘された、蓮實重彦江藤淳の対談を読み返す。

なんとも礼儀正しくというか慇懃なというか、余裕を持っての対談で、ふたりで昭和10年代の小春日和的なブルジョワ的豊かさをなつかしんでみせている。おおこわいこわい。文庫本の解説は、渡部直己とスガ秀美の対談形式で、これがほとんどパロディになっているところがおもしろい。
しかし、昭和60年に、当時まだ50歳前後の二人の対談で、こんなに堂々たる懐旧談を披露しているところが、いま読み直して考えてみれば、うすきみわるい。