静かなブーム:道端で『iPod』を共有するユーザーたち(WiredNews)

http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/culture/story/20031125201.html

 スティーブ・クランダル氏(51歳)は、日課となっている夕方の散歩の途中、しばしば、道で出会う『iPod』ユーザーたちと愛想よく会釈を交わす。ポケットから出ているイヤホンの白いコードを見れば、すぐに相手がそうだとわかる。

 ところが8月のある夕方、室内音楽を静かに楽しみながら歩いていた時、クランダル氏のこの会釈の儀式は突如として終わりを迎えた。

 30歳くらいの、同じくiPodユーザーの女性が、どうもハイテンションな音楽に合わせて体を揺さぶりながら、どんどんクランダル氏に近寄ってきたのだ。

 「彼女はまっすぐに私の方に歩いてきて、私の個人的領域に入り込んだ」と、クランダル氏はさも驚いたとばかりに話した。「面食らったよ。彼女は自分のiPodからイヤホンを抜き、目で自分のiPodのジャックへと誘導した」

 用心しつつイヤホンのプラグを抜き、女性のiPodのジャックに差し込むと、クランダル氏の耳にはテクノサウンドが流れ込んだ。

 「30秒ほど、互いの音楽に聴き入った」とクランダル氏。「言葉は一言も交わさなかった。それから会釈を交わして歩き去った」

 翌日の夕方、クランダル氏は再びこの女性と出くわした。彼女は、クランダル氏も散歩中に顔見知りになっていた他のiPodユーザーを相手に、イヤホンの交換をしていた。

 それから数日以内に、クランダル氏は、いつも散歩の途中ですれ違う4〜5人のiPodユーザーと、iPod交換儀式を行なった。こうしたわけで、8月以降、それぞれのiPodユーザーは、何度も互いの音楽に聴き入ってきた。

 「とても奇妙な感じだ」とクランダル氏は言う。「まるで、誰かのために自分がDJになったような気分だ……自分が聴いている音楽に合わせて人が踊る姿を見るのは、とてもうれしい。他人が自分の音楽を気に入ってくれると最高の気分になる。私の趣味はかなり風変わりだからね」

なんかSFみたいなことになってるのか?