真性団塊Jrの仕事観(三浦展)リクルートワークス研究所「続・新世代の就業観インタビュー」

http://www.works-i.com/special/newgeneration6.html
ふむふむ。
あれやこれやの話のなかで・・・

今の日本は荘子が説いた社会のよう

――職業生活の習慣をつけてあげないと、戦力にならない若者が増えている。悪い社会になりつつあるのでしょうか。

そうは思いません。生きるため、お金のために働かなくていい社会というのは、実は理想社会ですよね。逆にいえば、何のために働くのかが分からなくなった社会であり、初めてお金のため、生きるためではない、働く意味を問わねばならない社会になったのだと思います。

この間中国から来た留学生に、印象深い感想を聞きました。「日本の若者は素晴らしい。金のために生きていないし、勉強しようとも思っていない。みんな自分が一体何者か、自分は何になりたいか、何をしたいかだけを考えている。これはまるで荘子のようだ」と。

というのは、冗談としてはおもしろいのだけれど、
じっさいに大学というところで学生さんたちと付き合っていると、そうも達観してられないのもたしかではある。「みんな自分が一体何者か、自分は何になりたいか、何をしたいかだけを考えている」というのは、やはり決定的な点が違っているとおもう。
じっさいには、「「現実の」自分が一体何者なのか」という一点だけには目を向けようとしない・させない仕組みがかれらの内面外面に張りめぐらされていて、だから、「自分は何になりたいか、何をしたいか」を構造的に見つけられない仕組みのなかで「それだけを考えている」、といったところじゃないのかな。
このインタビューで焦点化されている世代というのは、ちょうど、私がいまの職場に奉職してから顔をあわせてきたぐらいの世代だと思うのだけれど、
ほんとうにむずかしいなあと思うのは、そのへんのところのことで、
それは、専門の授業であれこれ講義するとかそういう以前の問題でもありながら、
同時に、
うちの専門分野でいくと、まさにその辺こそが専門でもあったりするのだ。
じっさい、生涯教育ってそういうことやん、と思うわけである。
自分に(あるいは、うちの学校で)どの位のことができていてなにほどの手がかりを彼らに提供できているのか、いつも考えちゃうところではあるのだが。