文科省:フリースクールも学校 不登校児、就学義務見直し

毎日新聞の記事2本。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20050520k0000m040141000c.html

文科省
フリースクールも学校 不登校児、就学義務見直し
 文部科学省は19日、義務教育の就学先を学校に限定している現行制度を見直し、不登校の児童・生徒がフリースクールなどで学んだ場合でも、一定の条件を満たせば、就学義務を履行したとみなす検討を始めた。同日の中央教育審議会義務教育特別部会で、審議経過報告に盛り込まれることが固まった。実現すれば、フリースクールが実質的に「学校」として認められることになる。

 「不登校」を理由として、年間30日以上欠席した児童・生徒数は03年度現在、小学生が2万4077人、中学生が10万2149人の計12万6226人。10年前の約2倍の水準で、そのほとんどが、全国に約1100カ所ある教育支援センター(適応指導教室)やNPO法人などのフリースクールに通っているとされる。

 文科省は、「(保護者は)小中学校に就学させる義務がある」と定める学校教育法を根拠に、就学義務の履行は学校に限るとの原則を崩さなかった。特例措置として、構造改革特区でNPO法人立学校の設置が認められているが、不登校の児童・生徒の場合、小中学校に籍を置きながら、学校長が認めた場合に限って、教育支援センターやフリースクールなどに通った事実を「出席扱い」として認め、卒業させているのが実態だ。

 文科省は今年度から、不登校の児童・生徒向けの学習カリキュラムや指導方法の開発を目的に、実際に現場で教育にあたっているフリースクールなど約15団体に約1億円を支出し、研究委託を始めた。今月には、文科省不登校児童・生徒の受け入れを行っているNPO関係者との懇談会を初めて開いた。今回の「方針転換」はそうした流れの延長線上にあるとみられる。

 具体的には、一定の教育課程や設備を備えたフリースクールに限定し、就学義務の履行を認める見通しだが、時期については不透明だ。【千代崎聖史、野倉恵】

毎日新聞 2005年5月20日 3時00分


おなじく毎日の記事。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20050520k0000m040152000c.html

フリースクール
二重籍解消ヘ前進 独自性損なうと懸念も
 19日の中央教育審議会の義務教育特別部会で、フリースクールなどでの学習も就学とみなせる仕組みづくりが検討されることになった。従来のように通学を小中学校での出席扱いとするだけでなく、「卒業証書」を渡せるまで踏み込む内容。不登校対策に取り組む関係者からは「前進」との声が相次いだ。

 85年に設立されたフリースクールの草分け「東京シューレ」(東京都北区、NPO法人)の奥地圭子理事長は「不登校の親子が長年苦しんできた『二重籍』の解消につながる」と評価する。フリースクールの子供たちは元の学校に籍を置いたままで、「そのことが親子にどれだけプレッシャーや負い目を与え、消耗を強いてきたか。制度と現実のズレを解消し、育った場所で卒業証書をもらう形にすべき」。さいたま市の「ぱいでぃあ」の馬場章代表も「学校そのものも変わっていく好機になるのでは」と期待をにじませる。

 一方、千葉県柏市の「ゆうび小さな学園」の内堀照夫代表は「一定の要件を設けたり、細かい条件で縛られると、フリースクールの独自性が損なわれて学校と同じになり、子供が来なくなるのでは」と懸念する。

 フリースクールの規模や活動内容はまちまち。NPOフリースクール全国ネットワーク」の03年の調査では、刊行物などで存在が確認できた団体は全国約400だが、実数はつかめないという。どのフリースクールを「学校」と認めるかなど、課題は多い。【井上英介、鈴木梢】

毎日新聞 2005年5月20日 3時00分