野矢茂樹『哲学の謎』このへんを学生さんに薦めようかな。

時間が空いたときに売店で買った本というと先日買ったこれ。

哲学の謎 (講談社現代新書)

哲学の謎 (講談社現代新書)

今朝、通勤電車で読み始めて、このへんが学生さんに薦めやすいかな、と思っている。
哲学史的なはなしではなく、哲学的な考え方を読者とやっていこう、という種類の本で、
だけどたとえば永井さんとか?中島さんとか?の新書だと、「俺の考える哲学」みたいのが前面に出てきてしまって、もひとつ学生さんに薦めにくい。
この本は、オーソドックスな範囲内で、独我論の問題とか時間とか記憶とか自由とか規範とか、そういう、初学者にとっつきやすい問題をゆっくり考えていく、という感じなので、このへんだと薦めやすいかな。

出版社/著者からの内容紹介
時は流れているだろうか。私が見ている木は本当にそこにあるか? 他者、意味、行為、自由など根本問題を問いなおす対話篇。

死と他者―― ――あのさ、君は、自分が死ぬことによって何が終わるんだと思う? 少なくとも世界が終わるわけではない。しかし、確かに何かが終わる。ときには、自分が死ぬといっさいが無に帰すような感じさえ抱く。 ――そうそう。そういう感じって、確かにある。でも、世界はほとんど無傷のままあり続ける。これ、どうも、なんか妙な気分だよね。実在の世界はあり続けるが、ひとつの意識の世界が終わるとは言えないだろうか。 ――意識の世界? 死は、身体の物質的組織の変化であると同時に、いま感じているこの温かさ、この明るさ、これらの物音の意識、そしてもろもろの記憶の喪失にほかならない。世界そのものは終わらないが、私は五官で受け取っているこの意識の世界は消失する。 ――うーん、何かしっくりこないな。何だろう。――本書より

今まで読んだところで面白かったのは、
独我論の系列の話で、
「夢が夢であるのはそれが「醒める」ときが訪れるからで、醒めないかぎりはそれは現実としかいえないのだとすれば、たとえば、死ぬ間際に夢を見ていて、そして夢から醒めないで死んでしまったとしたら、その夢は最終的に現実なのか」みたいな小ネタ。こういうのすきだなあ。