電車の中で佐和・浅田『富める貧者の国』

富める貧者の国―「豊かさ」とは何だろうか

富める貧者の国―「豊かさ」とは何だろうか

1992年末から2000年末まで、一年に一回、『週刊ダイヤモンド』新春号に掲載された鼎談で、佐和+浅田というホスト陣にゲストを呼んで「京都鼎談」と称しておこなっていたものだというの。で、この単行本は2001年の2月に出ている、と。
「失われた10年」というのは何だったのか、という関心から読んだ、というより、
単行本が出てからさらに5年たって、「答え合わせ」みたいなつもりで読むかんじ。
2001年というと、小泉某がそうりだいじんになった年で、9.11テロ事件があった年なわけである。ということは、この本は、その直前までの空気の中で書かれているということで、これはなかなかおもしろい。
最初のゲストが植草一秀。最後のゲストが田中康夫。さいしょのほうでは、失業率が上昇して2.7%になってきびしい状況だ、これが4%ぐらいになったら政界再編になるだろう、などとのんびりしたことをいっていたのだけれど、細川政権もぽしゃり、村山政権もぽしゃり、経済停滞はいっこうおさまらず、しまいのほうでは、田中康夫をもちあげながら直接民主制がいいなどといっている。
もちろん、単行本に収録される時点で各対談の背景や総括のコメントも付されているのだけれど、そのコメントじたいが5年前なんで、びみょうでおもしろい。
あと、浅田彰という人が、意外にしっかり「京都の学者仲間の一員」してるな、と。