『PALLADIUM』

PALLADIUM(紙ジャケット仕様)

PALLADIUM(紙ジャケット仕様)

富樫雅彦のいる佐藤允彦トリオのこのアルバムのことは、以前からずっと読んでいて、だけどなかなか手に入らなかったのだけれど、とうとう買えたのである。
なるほどかっこいい。
日本のフリージャズ、という文脈で紹介されたりもしているのだけれど、いわゆるフリー、ではないですね。
それよか、爽やかで美しくて、硬質なピアノと神経質そうっていうか繊細なドラムスと意外と太いベースによる「自由な」感覚のピアノトリオの一枚、というかんじで、
そのへんは、この前から俄然、聴きなおしているポール・ブレイのトリオに近い感じだと思っている。
「ミッシェル」という、ビートルズの有名曲をやっていて、佐藤によるアレンジがかっこいい、ということになっている。もともとポール・マッカートニーが鼻唄気分で唄っているような曲で、そこにポール一流のちょっとした和音付けをかくし味の香辛料ていどにふりかけている − 「Sont des mots qui vont tres bien ensemble, tres bien ensemble...」のところの、ちょっとエキゾチックなかんじ − のを、佐藤が、めざとくかぎつけて、そこをガーッと強調してスパニッシュの曲にしてしまった、みたいなことだと思う。スパニッシュなので、ベースとドラムスがブンブン、カタカタ、派手にやるけれども、まぁ、それをフリーフォームとは呼ぶ必要はなくて、まぁそれ自体はまぁ、趣向、という程度。結局、佐藤という編曲者のハナの効き具合に、なるほどなあ、と感心する、というかんじ。だと思う。で、それはそれとして、聴いてかっこいいのでオッケー。