「日本の教育経済学:実証分析の展望と課題」小塩隆士、妹尾渉

↑上記論文の検索をかけたら、こういうのもみつかった。
「日本の教育経済学:実証分析の展望と課題」東京学芸大学・小塩隆士、大阪大学・妹尾渉
『経済分析』第175号(ジャーナル)(2005年3月)内閣府経済社会総合研究所
http://www.esri.go.jp/jp/archive/bun/bun02.html
http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis070/e_dis069a.pdf

要旨
本稿の目的は、日本の教育についてこれまで行われてきた実証研究をサーベイし、今後に残された研究課題を探ることである。具体的には、1)人的資本論と教育の収益率、2)労働市場から見た教育、3)教育成果の要因分析、4)教育の産業分析、5)教育需要の決定要因、6)教育と社会階層という6 つのテーマ別に先行研究を分類し、その分析目的や手法、結論や政策的含意を比較する。それぞれのテーマにおいて多くの研究が蓄積されており、また、教育社会学など経済学以外の分野における研究の中にも、経済学的に見て興味深いものが少なくない。しかし、データの制約などもあり、教育経済学における実証研究には多くの課題が残されている。
とりわけ、次の4 つが今後解決すべき課題として指摘できる。第1 に、教育成果に関する実証分析が米国等と比べてかなり不足しており、教育の履歴情報を含む長期的なパネル・データの整備が求められる。第2 に、学校教育において市町村レベルにおける自由度がある程度認められるようになっており、教育成果に関するクロス・セクション・データに基づく分析を進める余地が広がっている。第3 に、国立大学の独立行政法人化等を背景に、教育の産業組織論的あるいは経営学的分析も今後の蓄積が期待される。第4 に、教育と社会階層や所得格差の関連など、経済学と教育社会学による共同研究の成果が期待されるテーマが存在する。