魚喃キリコ『ハルチン』を読んで、『ユリイカ 特集・高野文子』の対談を再読。ところで同誌の高野と大友の対談は必読。

ハルチン (Mag comics)

ハルチン (Mag comics)

この本、amazonのレビューで、たしか高野の『るきさん』そのまんまじゃん、と酷評している人がいて、そんなもんかねと思い、読んでみたらたしかにそうなのだけれど、それは、同じ『Hanako』っていう雑誌でたぶん同じ枠でそういうふうに描いているからそうなったんで酷評する理由にはならないのでは、と思い、『ユリイカ 特集・高野文子』を引っ張り出して高野と魚喃の対談を読み返したら、『ハルチン』の担当編集者が高野の夫で、「100円アイスを買うような女子」を描けというアイディアを出したのがそもそも高野夫だというのだから、いよいよだ。
でもまぁそれはそれとして、じゃあ、並べてみて『るきさん』と『ハルチン』とどっちが好きか、というと、やはり『るきさん』がいいと思うわけで、それはもう、るきさんとハルチンとではるきさんのほうが断然しぶいからで、なんだかんだいってバイトのショップ店員のハルチンというのは今風なんである。
それはそれとして、
ユリイカ 特集・高野文子』の対談のもうひとつ、大友克洋高野文子の対談は、ものを書く商売をする人間の矜持みたいなものを感じられるんで、必読だと思う。たとえば、論文書きモードに自分を持っていくといういみでも。えーと、たとえばおなじく数年前に出た『ユリイカ 特集・論文作法』を読んで論文作法がわかったとかゆってる大学院生がいたらバカと思ったわけだけれど、高野の対談を読んで、女のまんが道きびしいっす、論文っすけど、みたいなトンチンカンなことを言うやつがおったら、ちょっと話がわかるやつか余程の大バカかどっちかでいずれにせよおもろい。と思う。
ユリイカ2002年7月号 特集=高野文子

ユリイカ2002年7月号 特集=高野文子