『雪夫人絵図』みた。うんざりさせるにゃあ。

雪夫人絵図 [DVD]

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小暮実千代って、いいと思ったことがないので、お姫ぃさまの役といわれてもぴんとこないわけだけれど、とにかくもと華族のお姫ぃさまが、婿養子を取ったものの、これが事業をことごとく失敗させて家産をすっかりてばなすはめにしちゃうわ、愛人を作るわ、お姫ぃさまをバイタのごとくにあつかうわ、ひどいわけだけれど、性の魔力によって小暮実千代を捕らえて離さない(なんじゃそりゃ)、小暮は「私は夫を憎んでいるんです」かなんか言いつつ、でも、なんだかんだいって小暮は最終的には「私を捨てないでください」と泣いて夫に懇願する(なんじゃそりゃ)、いっぽう小暮には、心ひそかに愛する琴のお師匠の上原謙ってのがいて、ところがこの上原が愚にもつかない野暮天の民主主義野郎で、小暮に向かって「あなたはもっと強くならなきゃだめだ」とか、そんなことしかいわない。自分を夫から奪ってくれる人はないかみたいなことを小暮が言うと、「それでは何も変わらないんだ」とかね。まあこういうことを言ってるやつは何事においても勝てんわけで、そうなるとお話は展開していかなくて一箇所をぐるぐると堂々巡りするわけで、お姫ぃさまが卑劣な夫の性の魔力に屈服する話が延々とつづくわけである。なんだか富士見ロマン文庫みたいだ。それを、いかにもありそうだなあ思わせるようにやるのでとてもうんざりさせる。
小暮の身の回りの世話をする女中の久我美子がかわいくて、映画は久我がお屋敷にあがるところから始まって、久我の視点で語られ、久我でおわる。なので、久我美子が主人公の映画だと錯覚しつつ見ると、可憐な感じがしてちょっとましである。