『稲妻』みた。いなずま感ゼロ。

稲妻 [DVD]

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成瀬巳喜男a.k.a.やるせなきお、の、しんねりとした女性映画。いなずま感ゼロ。でもよかった。
学生諸君はこれを見るべき。
高峰デコちゃんが主人公で女学校出のバスガイド、母親が浦辺粂子で、「四回結婚した」ということでデコちゃんときょうだい(姉・姉・兄)は全部父親が違う。兄は「南方ボケ」のダメ男、上の姉の夫もダメ男なんで、上の姉はやり手の小悪人の男の愛人みたくなってる。おっとりした下の姉にも夫はいたけれど、これがすぐに死んじゃって、さめざめと泣いていたらそのメカケという女が登場して、生命保険金をせびりに来る。そうこうしているうちに、上の姉はやり手の小悪人が手広くやってるあやしげな旅館のおかみにおさまり、また、あろうことか下の姉も小悪人が別にはじめさせた喫茶店の女主人におさまってしまい、またまたあろうことか、上の姉に捨てられた旦那に、浦辺がなにくれとなく貢いだり世話したり・・・
という、いかにもずるずるべったりな、ロマンティックラブの欠片もないおはなし。
家の感じや路地の感じ(プライバシー感ゼロ!)も含め、また、学校に通うことのニュアンスも含め、なんかこう、異界をみるごとき面白さ。っていうか面白いっていうかやるせない。