『土を喰う日々』。里芋やら蓮根やらを煮つつ。

土を喰う日々―わが精進十二ヵ月 (新潮文庫)

土を喰う日々―わが精進十二ヵ月 (新潮文庫)

近所のスーパーで買い物した後に帰り道に寄る小さな本屋の棚に見つけて、購入。
今日は、里芋やら蓮根やらとかしわとで「がめ煮」的なものを、昼の囲碁の始まる前に炊いたりしていて、気分もそれ的になりつつ、読む。
食味エッセイのアンソロジーで知っていた文章なのだけれど、どうやら昔の『ミセス』に連載したものらしい。
水上勉が(ちょうどこないだ見た『雁の寺』の、ということなのだけれど)、子どもの頃に禅寺で仕込まれた手際でもって、軽井沢の仕事場でもそもそと大根を煮たりくわいを焼いたり梅干を漬けたりするはなし。
本としては、思い入れたっぷりのキャプションつきの写真頁が意外に多くはさまれていて、なるほど昔の『ミセス』か、と感じざるを得んところもあるし、なんか当時の著者の年回り的に、いまの団塊の世代の人たちが田舎暮らしの参考に買い求めて快適生活を研究するさまなども思い浮かぶのだけれど、それはそれとして、文章としては、取り上げられているのが根菜だの乾物だのが多いこともあって、枯れてていい。