- 作者: 水上勉
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1982/08/27
- メディア: 文庫
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今日は、里芋やら蓮根やらとかしわとで「がめ煮」的なものを、昼の囲碁の始まる前に炊いたりしていて、気分もそれ的になりつつ、読む。
食味エッセイのアンソロジーで知っていた文章なのだけれど、どうやら昔の『ミセス』に連載したものらしい。
水上勉が(ちょうどこないだ見た『雁の寺』の、ということなのだけれど)、子どもの頃に禅寺で仕込まれた手際でもって、軽井沢の仕事場でもそもそと大根を煮たりくわいを焼いたり梅干を漬けたりするはなし。
本としては、思い入れたっぷりのキャプションつきの写真頁が意外に多くはさまれていて、なるほど昔の『ミセス』か、と感じざるを得んところもあるし、なんか当時の著者の年回り的に、いまの団塊の世代の人たちが田舎暮らしの参考に買い求めて快適生活を研究するさまなども思い浮かぶのだけれど、それはそれとして、文章としては、取り上げられているのが根菜だの乾物だのが多いこともあって、枯れてていい。