『音楽の聴き方』。とくにオチはない。

通勤電車ほかで。

音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)

音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)

音楽を聴くという経験をめぐるあれこれの理論的考察を引きながら、いちばん具体的な音の次元から、フォルムとしての、言語的な構造としての楽曲を理解するという次元、それに関連して音楽批評言語の問題、あるいは共同体とか社会とかいう次元、作曲者と演奏者、あるいは音楽の作り手と聴き手の乖離とか、聴く音楽とやる音楽の乖離とか、あれこれの点についてあれこれ言っている。まぁしかし、そういうあれでいくと、とくにオチはない。音楽は絶対こう聴け!みたいなことがあるわけでもないので。でも、おわりのところに「聴き上手へのマニュアル」みたいなのを(捏造的に)書いてあったりもする。
それはそれとして、あれやこれやの曲や演奏についての、ディレッタント的な文章やそういう引用やエピソードの紹介が、けっこういい。理論的なあれこれについて活き活きと読める。
ついでにいうと、うれしいのは、「あとがき」によるとこの本がまったくジャズを聴きながら書かれたらしいということ。セロニアス・モンクの演奏の話なんかが、かなり重要な例として出ていたりするのだけれど、この本そのものはほとんどクラシックの話題なのだけれど、ジャズでグッときてしまう何かのことをわかる人が書いたクラシック音楽の話、という気がして、そのへんは、読める。

ところでこのところ、いまさらながらyoutubeばかり見てる。けっこう際限なくはまってるのが、「・・・弾いてみた」というやつ。世界中のどしろうとのひとたちが、せま苦しい自室で孤独にビデオカメラを置き、その前に座って、カメラ目線をしたりしなかったり、顔が映らないようにしたりしながら、ラジカセかなにかで音楽(アニメ主題歌だったり、ジャズのスタンダードだったり、いろいろ)を小さく流しながら、カラオケ状態で楽器を弾いてみせる、数分のヴィデオ。youtubeというのは関連動画が数珠繋ぎに見れるようになっていて、だらだらと追いかけていると、なかなか(すこしぐらい、とても、)上手かったり、失笑ものだったりはいろいろなのだけれど、いずれにせよ、うまくいくとそこに「音楽」が現出しているかんじがしてくる。
http://www.youtube.com/watch?v=jM_Bs4MfAB8&feature=fvw
http://www.youtube.com/watch?v=siwY4vGwV4g
http://www.youtube.com/watch?v=C7jl-lwj-ZA&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=xQyDXs5urps&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=ALIkOZCfcuE&feature=related