「出生動向基本調査:夫婦の子、2人割る 「結婚しても少子化」進む−−昨年」

http://mainichi.jp/life/edu/child/news/20111021dde001040072000c.html

出生動向基本調査:夫婦の子、2人割る 「結婚しても少子化」進む−−昨年
 
 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は21日、妻が50歳未満の夫婦の結婚や出産について調べた10年の「出生動向基本調査」の結果を公表した。結婚後15〜19年経過し、ほぼ子どもを産み終えた夫婦の平均出生数を示す「完結出生児数」は1・96人(前回05年2・09人)と、初めて2人を割った。同研究所は「調査対象は晩婚化が鮮明になった90年代前半に結婚した人たちで、(出産適齢期が短いため)出生数が少なかった」と分析している。
 完結出生児数は第1回の40年調査の4・27人をピークに低下していたものの、70年代以降は2・20人前後で推移してきた。それが前回2・09人と前々回(02年)を0・14人下回り、今回はさらに0・13人減と02年以降で0・27人減となった。
 対象は1385組の夫婦で、妻の平均年齢は40歳代前半ごろ。夫婦に子どもの数を聞いたところ、「1人」は15・9%(05年調査11・7%)に増え、6・4%の「なし」(同5・6%)を含めた「1人以下」(22・3%)が初めて2割を超えた。「2人」は56・2%(同56・0%)で横ばいだった。
 日本は1人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率(10年1・39)も依然低い。ただ、それは晩産化と未婚者の増加が要因とされ、結婚した人の出生数は安定的に推移しているとみられていた。ところが、今回の調査はそれを覆す結果となった。同研究所は「2回連続で減っており、一時的現象ではない」とみている。
 全体の調査結果もこれに沿っている。「理想と考える子どもの数」は2・42人(05年調査2・48人)、「実際に生むつもりの子ども数」は2・07人(同2・11人)で、ともに過去最低。理想とのギャップの理由(複数回答)は、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」が最多の60・4%(同65・9%)。2番目は「高年齢で産むのはいや」35・1%(同38・0%)。初婚年齢は男29・8歳(同29・1歳)、女28・5歳(同27・4歳)と一層晩婚化が進んだ。
 調査は原則5年ごと。今回は昨年6月に全国9050組の夫婦を対象とし、86・7%から有効回答を得た。【鈴木直】
 
毎日新聞 2011年10月21日 東京夕刊

http://mainichi.jp/life/edu/child/news/20111022ddm003040115000c.html

出生動向基本調査:少子化解消、見通しなく 結婚0〜4年「0.71人」に減少
 
 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が21日公表した10年の出生動向基本調査で、ほぼ出産を終えた夫婦の子供の数を示す「完結出生児数」が1・96人となり、初めて2人を割り込んだ。合計特殊出生率がその年の傾向を映す「瞬間風速」なのに対し、完結出生児数はある世代の人が最終的に産んだ子供の数を指す「実績」に当たるだけに、深刻な少子化の実情が一層浮かび上がった。
 「90年代以降子供数がペースダウンしたと言われていたが、最終的に確定的に裏付けられた」。21日の社会保障審議会人口部会で、同研究所の金子隆一人口動向研究部長は調査結果をこう説明した。
 有名な「期間合計特殊出生率」(10年1・39)は、1人の女性の生涯出生数を示すデータとはいえ、特定の年の15〜49歳女性の出生数を足し上げ、1人の女性に見立てたものだ。あくまでもその年の数値であり、景気など社会環境に左右される面がある。
 一方、完結出生児数は夫婦が最終的にもうけた子供の数で、景気やムードの影響は小さい。今回の調査は90年代前半に結婚し、15〜19年を経た夫婦が対象。89年に急落した出生率から「1・57ショック」と言われた直後で、少子化という言葉が使われ始めたころに結ばれた人たちだ。
 調査対象となった母親1385人の平均年齢は40代前半。同研究所は、晩婚で「時間切れ」となり産まなかった人が多かったと分析する。しかし、この世代の女性の平均初婚年齢は25・7歳(92年調査)で、10年の28・5歳に比べ3歳近く若い。
 今回の調査で、結婚10〜14年の人の子供数は1・88人と前回の05年調査を0・1人下回った。この世代が、出生を「完結」する5年後までにどれほど子供を産むかは微妙。2回連続で増えていた結婚0〜4年の人の子供数も、今回は0・71人で前回より0・09人減った。今後、完結出生児数が上向く見通しは立っていない。
 そもそも出生率や完結出生児数は女性1人当たりの出生データだ。少々増えたとしても、出産期の女性の数が減れば出生数の増加にはつながらない。
 10年、15〜49歳の女性人口は2649万人で、前年より3万9000人減った。今後20年で600万人近く減ると推計されている。10年は107万人だった出生数も、20年後には70万人を切るとみられている。【鈴木直】
 
毎日新聞 2011年10月22日 東京朝刊

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E0E3E2E2988DE0E3E3E2E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;at=DGXZZO0195583008122009000000

夫婦の子供、初めて2人割る 理想数も最低  出生動向基本調査
2011/10/21 10:28

 夫婦が生涯に持つ子供の平均数(完結出生児数)は1.96人で、初めて2人を下回ったことが21日、国立社会保障・人口問題研究所が昨年実施した出生動向基本調査で分かった。子供がいないか1人だけの夫婦も初めて2割を超えた。理想とする子供の数は2.42人で過去最低を更新、少子化が着実に進んでいる実態が改めて浮き彫りになった。
 調査は原則5年ごとに実施し14回目。昨年6月に妻の年齢が50歳未満の夫婦9050組に調査票を配り、有効回答のうち初婚同士の6705組を集計した。
 1990年代前半に結婚し、子供をほぼ産み終える結婚期間が15〜19年の夫婦の子供は平均1.96人で、2005年の前回調査の2.09人から0.13人減少した。初回の40年は4.27人で、72年〜02年までは2.2人前後で推移していた。
 未婚を含めた女性1人が生涯に産むとされる子供の人数(合計特殊出生率)は10年は1.39人と2年ぶりに回復したが一時的なものとみられ、将来的な少子化の流れは歯止めがかかっていない。
 実際に予定する子供の人数も2.07人で過去最低。理想数(2.42人)との差は0.35人で、理想数の減少が大きかったため、差は前回調査(0.37人)より微減した。予定数が理想数を下回る理由(複数回答)は「子育てや教育にお金がかかりすぎる」が60.4%と前回に続き最多だった。特に30代未満では8割を超えたが、30代では「これ以上、育児の心理的、肉体的負担に耐えられない」が2割を占めた。

http://www.asahi.com/edu/kosodate/news/TKY201110210129.html

2011年10月21日12時0分
夫婦の生涯出産数、初めて2人を割る 平均1.96人
 
 
 夫婦が生涯にもうける子どもの数が昨年時点で1.96人と、調査を始めた1940年以来、初めて2人を下回った。国立社会保障・人口問題研究所が21日、出生動向基本調査(夫婦調査)の結果を公表した。
 調査は基本的に5年ごとに実施。今回は昨年6月に妻が50歳未満の夫婦9050組に聞き、7847組から有効回答を得た。
 結婚から15〜19年たつ初婚同士の夫婦の最終的な平均出生数は1.96人。前回の2005年調査より0.13人減った。出生数の指標では「合計特殊出生率」も知られるが、こちらは未婚を含む女性1人が生涯に産むと想定される子どもの数で、昨年は1.39だった。これに対し、今回の数値は結婚している女性が対象で、「完結出生児数」と呼ばれる。
 子どもがいない夫婦は全体の6.4%(前回5.6%)、1人は15.9%(同11.7%)。0〜1人の夫婦が初めて2割を超えた。
 過去5年間に結婚した初婚同士の夫婦をみると、出会った時の平均年齢は夫が25.6歳(前回25.3歳)、妻が24.3歳(同23.7歳)でともに上昇。結婚までの平均交際期間は4.3年(同3.8年)で、平均初婚年齢も夫が29.8歳(同29.1歳)、妻が28.5歳(同27.4歳)と、晩婚化が進んだ。
 これらのデータは、同研究所が来年初めに公表する人口推計などの基礎になるが、金子隆一・人口動向研究部長は「出生力低下の傾向は織り込み済み」と説明。出生率の将来見通しには大きく影響しないとみられる。
 夫婦が知り合ったきっかけは、「職場や仕事で」と「友人・兄弟姉妹を通じて」が3割ずつで並んだ。結婚を決めたきっかけ(複数回答)は、妻の結婚年齢が25歳以上の夫婦では、「年齢的に適当な時期だと感じた」が5割を超えたが、妻が25歳未満の夫婦では「子どもができた」(いわゆる「できちゃった婚」)が5割を占めた。
 一方、「理想の子どもの数」は2.42人だったのに対し、「実際に持つつもりの子どもの数」は2.07人にとどまった。理想の子ども数を持たない理由(複数回答)は、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」が6割を占め、若い夫婦ほど、この割合が高くなる傾向がみられた。
 不妊を心配したことがある夫婦は31.1%(前回は25.8%)、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は16.4%(同13.4%)にのぼり、いずれも前回より増えた。(稲垣大志郎)