『日本語の宿命』読んだ。面白かったけれどサブタイトルのほうをタイトルにしたらよかったような。

日本語の宿命 なぜ日本人は社会科学を理解できないのか (光文社新書)

日本語の宿命 なぜ日本人は社会科学を理解できないのか (光文社新書)

社会科学、っていうかようするに社会のことを考えたり議論したりしようとして、「社会」とか「個人」とか「市民」とか「主体的」とか「権利」とかといったいちばん基本的な言葉を、使って日本語で考えたり議論したりしようとすると、なんかわけのわかんないことになってしまう、と。それは、民主主義にせよ基本的人権にせよ、西欧の歴史の中で練り上げられてきた文脈を背景としているわけで、それを、たとえば明治時代に、えいやっと言葉と現実とをいっしょくたに輸入してしまって、しかも言葉のほうは日本語(っていうかしばしば漢語由来の)に置き換えてしまったら原語のニュアンスがわかんなくなったというわけで、けっきょくちんぷんかんぷんなことになってしまっているよと。そういうことなので日本では社会のことをきちんとロジカルに考えたり議論したりできなくなるよね、と。いつもながら勉強になる。